修羅場 ページ6
いつも通りになった夜の帰り道を行く。
(今日もキツかった〜…)
昨日の事もあって全然仕事に手がつかなかった一日だった。そのせいで上司に物凄く怒られるわ、休憩もマトモに取れないわ散々だったなぁ…
家に帰ったらこの体を癒やしてもらおう。
そう思い帰っていた時だった。
ガシャーンとガラスの砕け散る爆音が響く。
音の発生源は、私の向かいの家の人からだった。何事かと思いその家のベランダを見上げてみると、信じられない物が見える。
人だ。人がベランダの縁に乗り上げている。
まさか、飛び降りる気なのだろうか。
声を上げようとした時には、遅かった。
人は軽快に飛び降りると、私と同じ地面にくる。
そしてそのまま動かなくなった。
慌てて私は駆け寄る。まず意識があるかどうかだけでも確認しなければ。
救急車を速く呼んだ方が良いのは分かっているが、どうにもそこまで思考が回らなかった。
「大丈夫ですか!?」
私は人の体を揺さぶる。
近づいて分かった事だったが、飛び降りた人はこの家の家主だった。名前は
赤茶色の垂れ目が優しげな元気な人だった。
ここまで思い詰めていたとは察する事が出来なかった。胸が締め付けられて、息苦しくなってくる。
悲しみが津波のように押し寄せてた。気が付けば、ボロボロと涙が溢れてしまっていた。もっと速く気付いていれば、少しは何か出来たかもしれないのに。
「…ん?」
私の涙が彼に着いた時、彼がパチッと目を開ける。良かった、そんな安堵の声が思わず出てしまう。
そんな私に向かって、彼は軽い口調で話しかけてくる。
「あっ、Aさんじゃん。どしたの?」
「えっ?」と典型的な反応をしてしまった。どしたの?とは何だ。どしたの?と聞きたいのはむしろこちらの方だ。
頭の中でツッコミをしていると、和さんは普通に上体を起こす。
飛び降りたというのにどこも怪我していない様子だった。
2階なら怪我もしないだろうとは思う、だとしてもこうも平然と行動は出来ない気がするのだが…
「どうせなら膝枕して欲しかったな〜」
挙げ句の果てに膝枕までねだってきた。到底飛び降りなんてする人には思えない。
命に別状がないのならいいのだが、何があったのかだけは聞きたい。彼にそう要求したらば、条件を付けられた。
「Aさんの家邪魔してもいいなら話なんていくらでもするよ?」
あれ…私これ口説かれてる?
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名も無き者(プロフ) - そう言って頂き嬉しいです…!イベント参加させて下さりありがとうございました! (3月7日 6時) (レス) id: b52add099d (このIDを非表示/違反報告)
あめ(プロフ) - この度はイベントへの参加ありがとうございました!(連投申し訳ございません) (3月7日 0時) (レス) id: 82abefb882 (このIDを非表示/違反報告)
あめ(プロフ) - コメント失礼します〜!題名的にギャグ系かと思いましたが、想像より遥かに真剣なお話で良い意味で期待を裏切られました…!描写も細かく、もっと有名になるべき作品だと感じました!これからもお時間あるときにでも閲覧させていただきます! (3月7日 0時) (レス) id: 82abefb882 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:名も無き者 | 作成日時:2024年3月6日 17時