朝の出勤 ページ5
「ううっ…」
二日酔いで死にそうなぐらいの吐き気を抑えながら、外に出る。晴れの光が目に差し込んでくると痛みを覚えた。
(昨日あんなに飲まなきゃ良かった)
後悔しながら道を歩く。眩しさもあって顔が上げられず、いつの間にか地面を流しながら進んでいた。
そんな事をしていると、突然何か柔らかい物にぶつかる。
ハッとなり顔を上げ、驚く。そこには昨日のストーカー行為疑惑のある隣人がいたからだ。
「す、すいません！」
「いえ、大丈夫ですよ」
何事もなかったかのように振る舞う、彼の金色のまつ毛が揺れる。金髪碧眼の彼はいつ見ても文句なしの美形だ。
振る舞いからも、昨日の事が幻だったのではないかと思ってしまう。
「あ、ちょっと待って下さい」
そのまま先に行こうとすると、彼に呼び止められる。そのまま振り返った瞬間、いきなり手のひらを掴まれた。
何かされるのではないかと、解されていた警戒心が蘇る。
やめて下さい、と叫ぼうとした時だ。何かを手のひらに握らされる。何かを確認してみると、どうやら酔い止めの薬のようだった。
「具合が悪そうだったので…それ、良かったら」
しかも握らされたその薬は丁度、私の普段使う薬だった。
「あ、ありがとうございます…」
一応感謝を伝えると、彼はにこやかに「気にしないで下さい」と笑う。
もう黙ってはいられない。
私は禁句のようにされている昨日の事を聞く事にした。
「あの、昨日…ゴミ漁ってましたよね？何してたんですか？」
彼は表情を変えずに答える。
「ああ、あれですか…実は大事な書類を間違えてゴミに出していたみたいで、お恥ずかしい」
「にしては…」
他のゴミ袋も開いていたと私が口を出そうとしたら、彼は自分の腕時計を見せてくる。
短針はもう8の数字を指していた。
「そろそろ仕事に間に合わないのでは？」
それは正論であった。半ば黙らせられた気がしたが、こんなところで隣人に絡んでいる場合でないのも事実だからだ。
「…はい」
「いってらっしゃい」
私はそう隣人に送り出された。
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名も無き者(プロフ) - そう言って頂き嬉しいです…！イベント参加させて下さりありがとうございました！ (3月7日 6時) (
レス) id: b52add099d (このIDを非表示/違反報告)
あめ(プロフ) - この度はイベントへの参加ありがとうございました！(連投申し訳ございません) (3月7日 0時) (レス) id: 82abefb882 (このIDを非表示/違反報告)
あめ(プロフ) - コメント失礼します〜！題名的にギャグ系かと思いましたが、想像より遥かに真剣なお話で良い意味で期待を裏切られました…！描写も細かく、もっと有名になるべき作品だと感じました！これからもお時間あるときにでも閲覧させていただきます！ (3月7日 0時) (レス) id: 82abefb882 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：名も無き者 | 作成日時：2024年3月6日 17時
