身代わり審神者の本丸修正奇譚 (ページ10)

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8話ページ10

しばらく歩き続けていると目の前に私よりずっと大きい異形の生物が現れる。

意識するまでもなく私は腰に下げていた刀を鞘から抜き出し、敵へ向け…気がつけば走り出していた。

手に持っている刀は見覚えのある…先程まで手入れをしていた鶴丸国永さん。

ビビが入っているから治したい、けれど身体は勝手に動いて敵と刀を交えている。今にも折れそうだと言うのに。

『ｯぐ…！！』

右腕が斬り落とされる。今にも叫び出したいほどに痛いはずなのに思った様に声は出ない。

しばらく戦い続けた後、結局右腕と腹部に二、三個穴があき、脚も切り傷だらけで左眼も失ってしまった。

そんな状態だと言うのにまだまだ敵は現れる。

『負けられないな。早くあいつらの元に帰らないと…』

スラスラとまるで台本を読むかのように口が動く。
その時ようやく気がついた。

これはきっと、鶴丸国永さんの記憶を私が辿っているんだと─────。

┈┈┈┈┈

あれからしばらく斬られ続け、本丸にたどり着いたところでその夢かも分からない何かは終わった。

長義「……!? 急に叫んだりして…どうしたんだ？」

どうやら私の過ごしたあの長い時間はこちらでは全く、1秒すら経っていないようだ。

『ごめん。後で話すから、とりあえず手入れを終わらせよう』