9話 ページ11
手入れが終わり、後は顕現させるだけ。大倶利伽羅さんの呼び掛けにより審神者部屋の外には何振りもの刀剣男士がいる。
『今日が命日かな…』
なんて小声で言いつつ、顕現を始める。
鶴丸「よっ。鶴丸国永だ。俺みたいなのが突然来て驚いたか？」
oh...本当に刀が人になった。
実際に刀が人の形になる瞬間を見たのはこれが初めてで、驚きで声が出ない。
鶴丸「…君が新しい審神者かい？」
『えぇ、そうです』
恨んでいて当然、すぐ殺されなかっただけマシ…。なんて思っていたのに。
鶴丸「そうか、よろしく頼むよ。主」
『ん……？主？』
鶴丸「違うのか？」
『いや、嬉しいんだけど…』
長義「人間を恨んでないのか？」
鶴丸「恨んでない、と言えば嘘になるが…、何故か君は恨めないようだ」
と笑顔で言ってのけ、笑ってみせる。
加州「はぁ！？何それ！！」
今まで黙っていた加州清光さん達が部屋の外から叫んでいる。
鶴丸「おぉ。怖い怖い…。まぁ何にせよ、俺は君の味方だから安心してくれ」
そう言って優しく微笑みかけてくれた。
『ｯ…！』
鶴丸「大丈夫か…！？すまない、何か傷つけるような事を言ったか？」
『ｯえ…？』
鶴丸「君…泣いてるじゃないか」
『ぁ、これ…は、ちがっ⋯』
涙は拭っても拭っても止まってはくれない。だって、だって……
『誰かに優しく微笑まれたのも、味方だって言って貰った事も、心配して貰った事だって、全部全部…凄く、久しぶりだったから』
貴方の優しい笑顔が、私に微笑みかけてくれた両親にソックリだったから。
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作者名：シノン | 作成日時：2024年2月4日 15時
