身代わり審神者の本丸修正奇譚 (ページ1)

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前日譚ページ1

朦朧とした意識、まともに動かない身体、そんな状態の私を放って育ての親である華恵さんは玄関で誰かと話しをしている。

話が終わり戻ってきた華恵さんはいつになく上機嫌で私に言った。

華恵「やっと貴女が私の役に立てる日が来たのよ。」

私はこの時初めて華恵さんの笑顔を見た。そんな事も束の間、知らない男の人達が部屋に入って来て私を立ち上がらせ手首をつかみ乱暴に引っ張る。

『ぇ、ちょっと、どういう事…！？』

「諦めろ、君は売られたんだ」

『…え？』

売られたってどういう…もしかして私身体を売らされたりするの？いや、そうだとしても、もうどうでもいい。どうせ生きてる意味なんて無いに等しかった。
あの日、あの人に言われた言葉以外は。

その後私は真っ黒な車に乗せられ話を聞かされた。

華恵さんが審神者という職に就いていたこと。華恵さんが前任から引き継いだ本丸がブラック本丸化して責任を取る事になった事。そこで私を代わりの審神者にするように政府に持ちかけたこと…。

要するに「私の代わりに死んでくれ」という事だろう。

もうどうでもいいので死んでもいいが、それだと巻き込まれた本丸の付喪神様達があまりに可哀想だ。

＿＿というのは建前。

人々を救う付喪神、そんな神様を助けられたら、自分に価値が生まれる気がした。生きてていいんだって思える気がした。

…吐き気がする。そんな自分の事しか考えられない自分に。

結局私も華恵さんと同じ屑なんだろう。