15話 ページ16
NOside
真っ暗な部屋。そこで眠る一匹と一人に一振の男が目を向ける。
その男は今にも溢れだしそうな殺気を抑え込み、静かに抜刀する。
「…お覚悟!」
男が眠る一人の女性に刀を突き刺す。
Aside
『 う"ぁッ⋯!!』
突然腹部辺りに酷い激痛が走った。それは段々と熱を持って、まるで焼かれるように熱くなっていく。
『はぁッ⋯。っう"⋯!』
上手く言葉にならない声が口から出る。痛みに悶え苦しみながらも私を刺したであろう男を見る。
『⋯⋯ッ!!』
男は嗤っていた。私はその笑顔に途方も無い絶望感と狂気を感じた。
痛みで身体を起こすこともできない私は這うように少しでも遠くへ行こうと動いてみるが…
「逃げても構いませんよ。貴女には苦しんで死んでもらいたいので」
『ッあ"ぁ"ッ!!!』
今度は背中をザックリと斬られた。けれど、もうほとんど痛みも感じない。
ここに来る前の家族との思い出が蘇ってくる。あ、もしかしてコレ…走馬灯ってやつ……?あ、はは…私の人生、こんなところで…終わり、なの…?
目の前の景色が段々と歪んできた。周りの音が上手く聞き取れない。ただ、こんのすけが男に必死に何かを叫んでいるのだけはわかる。
酷い眠気に襲われて、私は深い深い闇の底に意識を落とした。
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作者名:シノン | 作成日時:2024年1月22日 12時