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10話 ページ11

『どういう事?薬研。』

薬「大将…。大将はまだ知らなくていい。」

知らなくていいって、何?そうだよね、まだ今日が初めましてだし、そんな事話せる様な仲でもないもんね⋯。

私がそんな事を考えているうちにも薬研と他の刀剣男士達は言い合いを続ける。
なんならさっきよりも声色や言い方がキツくなっている気がする。

『⋯薬研。』

名前を呼んでみるけど誰も気づいてない。気づいたのは隣で不安そうに私と刀剣男士達を交互に見るこんのすけだけ。
こんな事、前にもあった気がするな⋯。なんて思いながら、私は先程よりも少し大きい声で言う。

『薬研⋯!』

それでもまだ誰にも私の声は届かない。
またさっきよりも大きな声で言う。

『薬研!!』

流石に気がついたのか薬研達はビクッと肩を震わせこちらに目を向ける。

薬「⋯すまない大将。どうした。」

『もういいよ。もういいから。』

私なんかのせいで薬研が仲間と蟠りができるのは嫌だから。

『お騒がせしてすみませんでした。

確か離れがありましたよね?私はそこで過ごします。
皆さんとも必要最低限しか関わりません。ですのでどうか、ここにいさせてください。』

そう言って地べたに頭をつけてお願いする。元の場所に帰れないなら、ここ以外に居場所はもうない。ここで断られたら私は⋯。

「⋯⋯いいだろう、ただし必要以上に関わってくる場合は即刻首を落とされるものと思え。」

名も知らぬ刀剣男士は殺意を込めてそう言った。私はその言葉にただ「はい」とだけ答え直ぐにその場を後にした。

薬「待ってくれ大将!」

『⋯⋯どうしたの。』

薬「俺も離れについて行く。すまねぇ加州の旦那、兄弟達の事頼む。」

おそらく彼の兄弟であろう子達が目を潤ませながら「行っちゃうの?」と聞いてくる。

薬「大丈夫だ。毎日こっちには顔出すからさ。」

いいお兄ちゃんだな、なんて思う。そんな彼のお兄さんもまた良い人なんだろう。私も一度、会ってみたかった。

こ「⋯⋯?」
 「(今審神者様からいくらか霊力が消費されたような⋯?)」


┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈

「此処は⋯。」

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作者名:シノン | 作成日時:2024年1月22日 12時

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