検索窓
今日:4 hit、昨日:0 hit、合計:188 hit

ページ17

フランス料理をゆっくりと食んだ後、いつものスイートルームに案内される。
ドアを開けられ先に入るように促され、大人しく従う。座りなさい、とベッドを指さされてすとん、と腰を落とした。

「それじゃあ……話って何かな、真。」

「……もう、終わりにしませんか。」

社長が隣に座り、ベッドが沈む。
ぞくりと背筋に何か走るような感じがした。けど、ここで下がってはずっと同じことの繰り返しだ。振り絞るように言葉を続けた。

「……昨日、肇と久々に話しました。」

「私と食事に行った後すぐに肇のところへ?君も忙しいね」

「違います、僕が押しかけたんです」

「おや、私では満足いかなくなったかい?」

「……っ、社長は奥さんもお子さんもいらっしゃいます!抱かれる度に……僕はあなたの家族に申し訳なくなります。それに……肇にも。」

「何故肇に?」

「……肇は、僕がずるい方法で仕事を持ってきていることを知らない。全部実力だって……思ってるんです。騙してるんです、彼を!それが、それがつらい……」

頭を抱えるように前のめりになった僕を、社長は包み込むように抱きしめた。そして耳元で囁く。

「今、仕事が途絶える方が肇は辛いんじゃないかな」

「……それは、そうですけど…………初めから、フェアビアンカをやり直したいんです……僕達だけのフェアビアンカを作りたいんです……」

自然と涙が溢れる。今の時刻は19時頃。

普通なら、家で待っている奥さんとお子さんにただいまって言うべきなんじゃないですか?
僕なんかと会う時間なんて、ないんじゃないですか?

顔も名前も知らない社長の家族に心の中でひたすらに謝った。あなたの"お父さん"の時間を奪ってしまってごめんなさい。10年もダラダラと続けてごめんなさい。

続く  (更新停止中) お気に入り登録で更新通知を受け取ろう

←4.葡萄



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (2 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
1人がお気に入り
設定タグ:BL , オリジナル , オリジナル作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:Me | 作成日時:2021年9月23日 18時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。