あ、始めました ....y.hika

死神のノック ページ17

18時。


｢ただいま帰りまっしった｣


いつものように、鍵を置いて冷蔵庫へ向かおうとした光くんの携帯が鳴った。



｢…んだよ｣



鬱陶しそうに携帯を取り出すと



｢あ？誰だ…この番号。｣



ソファに座りながら眺める私に首を傾げ、通話ボタンを押した。




｢…………はい。｣


出てからすぐ言わないって(笑)
仕事の人だったら どーすんの。



｢ごめん。誰？｣



間違い電話？知らない人みたい。


でも、しばらくすると光くんが眉間にシワを寄せ始め
無言でブチッと切ると、隣にやってきた。



｢おかえり。｣



怖い顔してるのに
誰だったの？って聞くのは野暮だよね。



私の おかえりに表情を変え



｢ただいま。バカじゃらし｣


って。



｢もー!!名前呼んでよ!!ってゆーか、バカじゃないしっ！｣

｢いって！叩くなやっ(笑)バカじゃらし!!!｣

｢ムキーーーーー!!!!!｣

｢何それっ(笑)俺も真似しよっ｣




真似しようと光くんが｢ム｣って言った瞬間
また電話が鳴る。


置いた携帯には登録されてない番号。


舌打ちして電話に出たけど、ずっと無言。
でもね。
携帯から漏れた声は女の人だった。
それも……泣いてる？


何だか胸騒ぎがするよ。


朝見た天気予報で、明日は台風が来るって言ってた。


だからかな。

風がよく吹いて、窓がガタガタしてる。


まるで死神が無理矢理こじ開けようとしてるみたいに…。

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