Fear (ページ7)

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最初は何も知らなかった。

ただ、帰ってこなくなった父親と

アルコールに溺れ、情緒を失う母親

中学生という多感な時期に

この2人の存在は俺に大きな影響を残した

幸せだと思っていた家庭は壊れて

家族なんて脆いものだった

父親が帰ってこなくなった理由が
浮気だということは予想はついていたが、

確信には至ってなかった

しかし、高３の冬

俺の現在に繋がる出会い、

樹が目の前に現れた

樹「お前さ、父親の浮気相手の子ども。

なーんにも知らず、幸せそうに生きてるよ、

知ってる？」

そう言って突き出されたのは、

俺の父親と、知らない女性、

同い年くらいの女の子のスリーショット写真

樹「不平等だよな、なんも知らないって。」

今まで感じたことない感情、

いや、抑えていたのかもしれない感情

樹「悔しくない？

お前らだけだよ、不幸なの。」

どす黒い何かが心の奥の方で芽生えた。

水に墨を落とす、その感覚

一瞬にその感情が心を染める

樹「お前はこーんな風に笑った？最近。」

先程の写真の女の子を指さす樹。

樹「俺もね、この女の子、
ちょっと消したいんだわ。

…協力しない？」

北「…乗った。」

今思えば二つ返事で出した決断だったが、
後悔はしていない。

樹「北斗ならそう言ってくれると思ってたよ。」

何故か俺の名前を知っていた樹

樹が裏の社会の人間だろうということは、

それからすぐ察した。

どこからか分からないほど詳しい情報。

今まで何十枚と渡された盗撮の数々。

樹は情報提供、

俺は実行役。

ここから現在に繋がる。

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