質問に答えてもらいまして。 ページ6
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「……そっちのお前は？」
「あ、私ですか？」
「お前もさっき声をあげただろう。質問があるのか。それとも吉良涼介と同じ質問か」
「いえ、全く違いますが…」
野次を一通り聞いて、つまらなそうに首をポリポリかいた絵心さんは、その何を見ているか分からない真っ黒な瞳で私を見つめた。
「同じ質問なら失望」、「違う質問を期待」といった所かな。まぁ違う質問でも概ね内容が一緒だったら絵心さんからの興味は0に等しくなる、という事は頭の片隅には入れておこう。気を付けないとね
「仮に、私が最後の1人に残ったとして。
世界一のストライカーという称号に1番近付いたとして、その状態で何もしないというのはアリなんでしょうか。事情説明は省きますが」
私のその質問に、絵心さんの話が終わった時以上に会場はザワザワし始めた。多少驚いていた豹馬くんも、今は目を見開いて私を凝視している
「何言ってんだお前ー！」「寝言は寝て言え！」「無名がでしゃばんなー！」なんて野次が聞こえてくる。いや、だから仮定の話って言ったのに。最初に仮に、って言ったでしょうが
「…ほう。まぁ先に言っておこう。何もしない、なんて奴が生き残る事は無いだろう。ただしお前は生き残るかもしれない。これがどういう事か。お前なら分かるだろ」
「……それはそれはご丁寧にどうも。納得しました」
絵心さんの言葉の真意は分かった。周りの人は頭上にはてなを浮かべているが、まぁ仕方の無い事というか。
それよりも私は、何故絵心さんが私の事を知ったように話すのかが分からない。アンリさんからいろいろ話を聞いているのか？それでもなんか、違和感が…
「さて、最初に戻ろう。「チームを捨てて参加出来ない」……だったか。重症だなぁ、お前ら」
その絵心さんの言葉に会場の空気が5℃くらい下がったのが分かる
「
チームが大切？お前らは自分が世界一のストライカーになることよりも、こんなサッカー後進国のハイスクールで一番になる方が大事か？あ？」
そこから、この会場にいる300人を感化させてしまう演説が幕を開けた。
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