Ⅺ ページ12
「マネージャーのガキか
居るのは構わねぇが泣き出して収録止めたら締め出すからな」
「あっいえ我々赤ん坊ですがそのような粗相はしないよう努めますので！
現場の進行を妨げないのは最低限のルールとして認識しております。弊社のアイを今後とも何卒ご贔屓に……」
「めちゃくちゃ喋るなこの赤子！」
「ユーチューブで少々…」
言い訳が雑すぎるか？
「すげぇなユーチューブって！！時代だなぁ！！！」
誤魔化せた…
「しっかし、早熟な子役は結構見るがここまでのは初めて見た。お前らも演技とかするのか？」
「いや……俺もライトも演技とかそういうのは…」
「画面としておもしれぇな、なんかに使いたい」
「にぃにとらないで…ください」
「お、わりぃ」
監督は俺をおろしてポケットから紙切れを取り出す。
とらないでってかわいいな。
「これは俺の名刺だ。どっかの事務所入ったら電話しろ」
「えと…ありがとございます？」
「…仕事を振るなら僕じゃなくてアイの方に…」
「あーあのアイドルな。顔は抜群に良い。運が良けりゃ生き残るだろ」
「なんでうんなの､ですか」
「いいか？役者ってのは3つある。1つは看板役者、次に実力派、最後に新人役者」
客を連れてくる事を求められる看板役者。
作品の質を担保する役割とレーベルとしてのブランドを保つ事が求められる実力派。
今のアイは演技力なんて期待されていない新人役者。
新人役者は画面に新鮮さを出してくれれば及第点。
そして次のスターに経験を積ませる目的もある 業界初全体での投資みたいなもの。
「この現場に居る新人全員の中で誰か1人でも生き残れりゃ大成功。そういう世界だ。
生き残るのは何かしらの一流だけ。」
「ふーん、じゃあ平気だね。アイはアイドルとして一流だから」
「いや…アイドルとして一流でも仕方ないだろ」
アイの撮影が始まった
「演技は並だが……いやに目を引く」
「でしょ。さっきこんな事言ってた
ステージの上だとどの角度からも…皆から可愛くしなきゃいけない
けどここではたった一人カメラに可愛く思ってもらえばいい
ＭＶと同じ要領でいいならむしろ得意分野って」
「ＭＶ感覚かよ……時代だな」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 12人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：暁 | 作成日時：2023年7月9日 16時
