36 ページ36
____
坂田に手を引かれ、とりあえず場所を移動。坂田は泣いてる私を気遣ってか私の小幅に合わせて歩いてくれていて。手から伝わる優しい体温が妙に心に染みた
祭りの会場から少し離れた所にある小さな公園のベンチに腰をかける。その場に着くころには落ち着きを取り戻し、涙も乾いていた
「それで、?..何があったんだ、」
そう聞かれこれまであったことを坂田に少しずつ話す。
「トシは..私に『変わってほしくなかった』って...変わることを否定されちゃって..」
すると坂田はしばらく何かを考えているような素振りを見せたかと思うと、口を開いて
「多分、アイツ最初から知ってたんだろうな。お前が変わる必要なんかねェってことは、」
「え...?」
「..土方に似てお前も鈍いのな、とにかくだ。ンな気にすることねェよ、アイツの言葉足らずってとこだ」
坂田の言っている意味が分からず首をかしげる。すると坂田は私の目元に触れて
「でもまァ、..いくら不器用っつっても女泣かせんのはどうかと思うけどな。『可愛い』の一言くらい言ってやればいいのによ、...」
「...いいよ、坂田。お世辞は..私、別に可愛くないし」
「ンな事ねェよ。..可愛い、凄ェ可愛い」
先程までの坂田の顔つきとは違い、まっすぐな目で見てくるものだから思わず視線をそらして
「坂田、本当にいいから..ってかそう言うのは好きな子とかに言うべき言葉なんじゃ__」
「好きだ」
耳を疑うような声が聞こえ、おそるおそる坂田と視線を合わせる
坂田は今まで見たことないような表情をしていて
「葵、..俺、お前が好きだ_」
まっすぐな目で私を見たまま彼はもう一度その言葉を口にした
34人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
なゆ(プロフ) - めっちゃ面白い!更新頑張ってください!! (2019年8月26日 12時) (レス) id: af64f6a838 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:シオン | 作成日時:2019年8月10日 23時