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坂田side
特にやる事もなく、町中をぶらぶらしていると、公園のベンチに見覚えのある女が1人目に留まった。
「よ、久しぶりだな。何してんだ、こんな所で?」
それはあの土方クンの嫁。彼女の隣に腰をかけ、そう声をかける。
「少し..涼んでいたところです、」
そういってどこか遠くを見つめる彼女。その姿はどこか寂しそうに見え、..さてはまた野郎が彼女になにか__
「..本当、酷ェよな土方クンの奴。こんないい嫁放っといてどうせ今日も仕事に__」
「私は、もう十四郎さんの妻ではありません」
俺の言葉を遮り、彼女はハッキリとそう告げた
「私..本当は、最初から知ってました。..十四郎さんは私を愛してないことくらい。彼が私と籍を入れたのは単なる仕事で潜入捜査と対して変わらないものかと..私も私で、彼とは親の命令で籍を入れただけです」
「...けど、私は彼と過ごせて幸せでした。例え彼が私を愛してなくても、それでもよかった...夫婦らしいことなんてしてなかったとしても、私は愛する人といられるだけで幸せだった」
そういって彼女はどこか寂しそうな面影を残しながらも、柔らかく微笑んだ。
「十四郎さんとは別れました。もう彼とは他人です、そして親とも縁を切ります..これで彼も私もようやく自由になれます。」
..何があったか詳しくはしらねぇが、どっちにしろコイツは本当に野郎のことを想ってるんだと、それだけは俺でも分かった。
けど、彼女は今、身の回りの全ての縁を立ちきろうとしている。彼女の姿からは何かしらの覚悟が感じられた
「...じゃあお前、帰る場所ねぇのか。」
そう聞くと彼女は黙りこんだ。..野郎のもとも親のもとも離れるのだとしたら、彼女には戻る場所はあるのだろうか。俺はそんな彼女に、
「来い。..俺は万事屋だ、誰かが困ってんなら手貸す。変な気使わなくていいから、お前はただ黙って俺についてこい」
ベンチから立ち上がり、彼女に背を向けた状態でそう声をかけた
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aoo - 面白かったです。私も小説投稿してるから参考にしよーっと。完結お疲れ様でした。 (2020年3月1日 14時) (レス) id: f91ea9aee4 (このIDを非表示/違反報告)
巴 - もどかしいと言うかストイックと言うか、そんな所が土方さんらしいですね。 (2019年7月21日 23時) (レス) id: 5637175f26 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:シオン | 作成日時:2019年6月8日 22時