純白の空と純黒の大空２ (ページ43)

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第80話ページ43

《ねぇ貴女はいつまでそこで蹲っているつもり？》

主)『え？』

視線を伏せていた美優はハッと周りを見渡せば暗闇はもうすぐ近くまで来ていた。

美優は混乱でうまく回らない頭を無理に動かして先ほどの声の持ち主を探す。

主)『あ貴女は誰？』

《私はフフ誰でしょうね

さてこんなまやかしにいつまで騙されているつもりですか？》

そんな女性の声に耳をすませながら美優は首をかしげる。

主)『まやかし？貴女は何を言って』

美優は思わず疑問に思い言葉を交わすとどこからか鈴の鳴るような音が微かに聞こえて来た

暗闇は大きな風に吹かれたかのように祓われていき青々とした草原が広がった。

主)『！は？へ？ここは』

《まんまと幻術に面白いくらい騙されちゃって》

謎の声の持ち主はクスクスと鈴の鳴るような声で笑うと少しづつその優しげな気配を消して行った。

主)『ま待って！ここはどうして私がこんな所に？』

《ここからはあなたの試練体の主人ならば【影】を抑えてみせなさい》

謎の声はそう言い残すと完全に気配を消し何処かへ去って行った。

美優はその場で固着して、数秒間突っ立ていると指先から動き出しその場に脱力するように座り込んだ。

主)『あれ？なんでだろうめちゃくちゃ疲れる』

何故ここまで自分が疲労を感じているのか今の美優には想定できなかった。

まさか【影】が外で“大暴れ”しているなど思いもしないだろう。

主)『？あなんかだんだん軽くなってきた』

美優は芝生に手をつきゆっくり立ち上がると周りの景色をよく見渡した。

主)『見たことのない所だなどこだろう』

フッと視線を止めた丘の先に一本の木が立っているのが見えた、その木はそれは大きく一本一本の幹が遠くからでも見え、美優は何故か無心でその木へと脚を向けた。

少し急になった坂を登り草原になんの目もくれずにただポツンと立っている木へと脚を運んだ。

木の根元までたどり着くと大きく息を吐きたくましく立つ大きな木を見上げ、そっとその木に触れた。

主)『あ暖かい』

木から微かな熱を感じてその木に頬を寄せると抱きつく感じで木を堪能した。

主)『・・・・・何してるんだろ私他から見たらただの変人じゃん』

ハッと我に返った美優はそっと自分にツッコミを入れると訝しげにその木を見つめた。