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――「家庭教師やめようと思ってる」
今にも消え入りそうな声が聞こえた。
その声色。
きっと…いや間違いなく本気だ。
「なんで？」
「…まぁ、いろいろとね」
「いろいろって何？」
「いろいろは、いろいろだよ」
微かに笑いを含む声が胸の深いとこをグッ、と突き刺す。
私に理由教えてくれないってことはさ。
つまり私との接点をなくしたいってこと、だよね？
嫌だ。そんなのやだよ。
勘違いされたまま、離れるなんて……
私だって先生のこと……！
ようやく暗がりに慣れた目はしっかりと先生の背中を捉える。
「私のこと嫌いになった？」
ガクガクと震えたその言葉に
「……え？」
驚きの声を発してこちらを振り返った先生。
月明かりもない。外灯もない。
そんな暗がりでも瞳だけは何かに反射してるのかキラリと光っている。
綺麗だ…って思った。
こんな状況でも思う。惹き込まれるくらい透き通る瞳だって。
「バカで人の気も考えられない私に嫌気さした？」
「……えっ、は…？」
「バカなのはあやまる。こればっかりはどーしようもないし。けど一つだけ先生に言っておかなきゃいけないことある。」
その瞳に映れなくなってもいい。
あんたなんか…って蔑まれてもいい。
けどこれだけは聞いて？
「私も……」
「私も先生のこと好きだったの…」
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作者名：AMY | 作成日時：2017年4月30日 8時
