《7/1完結》F-to-L 4【N.K】 (ページ3)

今日:6 hit、昨日:13 hit、合計:23,262 hit

93 ページ3

　
　

(……っ！)

思わず出そうになった声を慌てて引っ込めた。

え…もしかして、幽霊？

お化け？

だとしたらお祓いに行かなきゃ。

おバカでもこーゆうときは冷静に頭が働いて。

音を立てないようにベッドから起きようとしたら控えめに"ギィー…"とスプリングの音がして、ヤバッ！と思ったその時、影が少し動いた。

「…起きた？」

不気味な薄暗さの中に響いた大好きな声に
　
暗さに慣れない目でもわかった襟足がピョンと跳ねたシルエット。

途端に打ち付けた胸の鼓動はハンパなかった。

けどなんで？

なんでアナタがここにいるの？

何しに来たの？

これ、現実？

疑問なんていくらでも沸いて来る。

「ゴメン。勝手に部屋に入り込んで。」

窓の外を見ながら話す黒い影。
声はこの空気に溶け込むように澄んでいて。

「翔太が大丈夫だっつーから入ったんだけど……やっぱダメだったよね、ゴメン……。」

けど、後ろ姿はどこか寂しげに映った。

なんて返せばいいのかわかんなくて
この、もの静かな雰囲気に飲み込まれそうになる。

時折、バーン、バーンと聞こえる花火の音。

誰もが歓声を上げるであろうその音が
この部屋の空虚さを助長させる。

「どう、したんですか…？」

私が小さくそう問いかければ

またピクッと動く影。

「オレ……」