貴方に好かれて痛かった【不死川実弥】 (ページ32)

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side A

し「とりあえず輸血は済ませました。これでどうなるかですね…」
『……胡蝶ちゃん、私こんな…伊黒さんに辛い思いさせてたの…知らなくて…っ…』
し「…もとはと言えば、私たちが悪いですし、それを許せなかったAさんの気持ちもわかります。むしろ許せたのがすごいですよ。今は、弱音を吐くのではなく、伊黒さんに寄り添ってあげることが大事でしょう？」

胡蝶ちゃんが優しく私の背中を撫でる。
私は大きく頷き、伊黒さんの手を握った。

小「ん………」
『い、伊黒さん！！！？？』
し「！！！」
小「…A…？何故…」
『伊黒さんが心配だったからに決まってるでしょう！！胡蝶ちゃんから話聞いて、すごく心配で…』

話していると、だんだん涙が溢れきた。
伊黒さんの手が、私の頬に触れる。

小「…すまなかった。お前がそんなことするはずないと、わかっていたはずなのに…」
『ううん、もう大丈夫です。…目が覚めて、よかった……』

伊黒さんは、優しく微笑んでくれた。
包帯をしているから、目だけだったけど、でも、すごく優しい眼差しだった。

『あ！私、甘露寺ちゃん呼んできます！ずっと心配してたんですよ！』
小「甘露寺…ああ、頼む」

甘「伊黒さぁあああああん！！！すっごく心配したんですよ！ほんとに！！ほんとに！！！！！」
小「悪い、甘露寺…」

し「…私達はお邪魔のようなのでおいとましましょうか。伊黒さん、このあと検診がありますので、よろしくお願い致します」
小「あぁ」
『それじゃ、また！』
小「また、な」

伊黒さんが嬉しそうに微笑む。
私はそれがとても嬉しかった。