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_*°32 ページ32

三日が過ぎ。
神山先輩に顔を合わせることは出来んかった。
あの日も結局、藤井先輩の力を借りて逃げ出して。



何も言わんまますっぽかして傷つけたと思う。
でもあんなこと知らされたらさ。
いくら好きでも、考える時間が欲しかった。



今も校内で騒ぐ人達は…何も知らんのや。
あの人が何を抱えてるか。
何を…見てるんか。



重「どーしてん!ほんま、悪魔取り憑かれたみたいな顔して!」



背中にバシンと衝撃が走る。
確かに痛いのに、答える気力はなかった。



悪魔。
取り憑かれたんはあたしやないよ。
…もしかして大毅は知ってた?



知ってて、やめろって言うたん?



「だいき…」



あたしの顔を覗いた大毅が一瞬で表情を変える。



重「…ちょっと出るか」



うつ向いて、滲みそうな視界を必死に髪で隠して。
そんなあたしを更に大毅が隠してくれる。
それでも空き教室に行くまですれちがう何人もの人が振り返って。



その中に多分、覚えのある匂いが鼻を霞めたのは思い過ごしやろう。
あの人が廊下を歩こうもんなら親友も、そして女達もほってはおかんのやから。



重「さむ、お前ブレザー着てへんやん」



廃りかけの誰もいない教室に暖房を入れておくほどうちの学校も経済的に余裕はない。
自分も震えてるのにわざわざ脱いで、あたしにはちょっと大きいブレザーをかけてくれた。



重「…で。泣くなら俺空いてるけど」



とんっと自分の胸を叩いて両手を広げてくる。



「…別に泣かん」


重「……ほんじゃ、俺が寒いから」



机に座った大毅が、立ってるあたしをぎゅうっと包む。
少し不器用なところが変わらない。



重「…俺にしたらええやん」

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カジャ(プロフ) - 智マロさん» 続編が決定しましても、水面下で動きますので気長に待っていただけると嬉しいです笑 応援の言葉もありがとうございます。 (2019年2月5日 21時) (レス) id: 94c6d0cc26 (このIDを非表示/違反報告)
智マロ(プロフ) - ありがとうございます!!新作の方も頑張ってください!! (2019年2月2日 14時) (レス) id: 81e3e0ac1c (このIDを非表示/違反報告)
カジャ(プロフ) - 智マロさん» 今のところは考えてないですが…前向きに検討してみます! (2019年2月2日 10時) (レス) id: 94c6d0cc26 (このIDを非表示/違反報告)
智マロ(プロフ) - すごく今更なんですが、これの小説の続編書いていただけないでしょうか?? (2019年1月31日 17時) (レス) id: 81e3e0ac1c (このIDを非表示/違反報告)
カジャ(プロフ) - 小鞠さん» 恐れ多いです本当に…プレイリスト、ということですが理由をお伺いしてもよろしいですか?作品一覧では見にくいということでしょうか…? (2019年1月30日 20時) (レス) id: 94c6d0cc26 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:カジャ | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/kajya1734  
作成日時:2019年1月2日 12時

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