契約恋愛【Ren.M】 (ページ35)

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君の声ページ35

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Ren side

蓮「“急を要するんだよ！電話でも嬉しくて
　もうどうにかなりそうなんだぁ…！”」

〈はい、カット！〉

休憩時間になり、康二からの着信に気づく。
俺は絶賛ドラマの撮影中だ。

康〈やっほー！〉

蓮「おう、仕事はどう？」

康〈あぁ〜、写真家もええなぁ！
　俺に向いてる気がすんねん〜〜！〉

今は康二と一緒に住んでは居ない。
ただ、こうして定期的に電話する仲だ。

蓮「もう漫画描かないの？」

康〈意外とな、諦めるのも悪くないんよ
　俳優上手くいかなくなったら写真家…〉

蓮「ふは、無いな」

出番だ、という声がかかって電話を切る。

俳優・目黒蓮と書かれた椅子を
立ち上がって前を向いた。

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呆気なく亡くなったA。

黒いスーツを着て式に参加した俺は
彼女の友人、翔太さんと落ち合った。

翔「もう整形する気はねぇの？(笑)」

蓮「どうせ世間に知られた顔だし。
　翔太さんこそ肌ツヤえぐいっすね」

翔「メスは入れない、がモットーだから」

一緒に缶コーヒーを飲んで溜め息をつく。

蓮「…Aの保険金は彼女が勤務してた
　あの相談センターに寄付しました」

翔「あいつ、目黒がテレビに出るの
　楽しみにしてたのに、早かったな〜…」

蓮「見たら厳しく指導されそう」

翔「ふははぁ、間違いねぇ」

“もっと感情込めないと！”なんて。
昔みたいに、色んな所に連れ回されそうだし。

遠くまで連れ出されて特訓とかありうる。

蓮「でも…演技する姿、見せてやりたかった」

翔「うーん、演技する姿は見たことあんだよ」

蓮「…は！？」

翔「“主役かと思ったのに刺されて死ぬ役だった”って、
　ちょっと笑ってた！」

蓮「…いつ見に来たんだよ…、てか
　何で見に来たんすかね？」

首を捻るしか無い。

死ぬ役、といえばあの劇場の舞台だ。
わざわざ見に来てたなんて。

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