あなたの彼女は私でした【及川徹】

#ex_38 ページ40

______





バタバタと練習場わけや備品を捌いて練習をしていたら、1日はあっという間に過ぎていた




当然、夜は自由な時間




俺は爽やか君を捕まえようと探し回っていたけど、食堂に差し掛かるところでとっさに自販機の影に隠れていた




だって




「……Aさん、じゃないっすよね。」




「うーん、多分影山くんが知ってるAでは無いと思うよ。私は藤乃A。」




「俺の名前、知ってるんすか？」




「一応、今日は練習みてたしね。」





影山とマネちゃんが話していた




飛雄ちゃんは何で話しかけているんだ




マネちゃんは飛雄の意図をわかってるわけ？




影山の知っているAじゃないってなんだよ





影山がAを知ってるってどこで勘づいてたんだよ





「俺の知ってるAさんを知ってるんすか？」



おい飛雄ちゃん、ナイスだけどナイスじゃないよ



それは俺がずっっっっと聞きたかった事






聞きたかったのに、聞けないでいた





そんな自分にムカムカと腹が立ってくる





「なんかね、皆私を誰かに重ねてるみたいなんだよね。……あなたもそうでしょ。」





「まあ……はい。」





すみませんでした、とだけ言って飛雄ちゃんはどこかへ行ったみたい





「……はぁ。」




廊下のベンチにぽん、と座ったような音がする




きっとマネちゃん




そう思って出ていこうとする





「A、もういいの？」




踏み出した一歩をすぐに引っ込める




えっ、烏野のマネちゃんもいたのか




ぐっと踏みとどまった前足





反動で背中がぐらりと揺れる




ますます出て行くタイミングがなくなった

#ex_39→←#ex_37

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す