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7-2 ページ37

しかし、呆れる私とは対照的に敦さんはがっつり食いつき、さながら肉食獣のように目をギラつかせて、片っ端から職業を挙げていく。勿論凡て健全なものなので中るどころか掠りもしない。
最終的に行き詰まって考え込んでしまう彼の姿を、太宰さんは楽しそうに眺めていた。

(本当に性格が悪いというか、意地が悪いというか)

因みに私が中てるのは絶対にあり得ない。そんな事をしたら芋づる式で私の前職まで判ってしまうし、何より太宰さんの報復が怖い。自爆など絶対に御免だ。

そうやって完全に傍観の体を決め込んでいた私を、何故か突然ハッとした敦さんが勢いよく振り返った。ばっちり合った彼の目の中に期待の色を認めた瞬間、厭な予感がむくむくと首を(もた)げ始める。
――そして非常に残念ながら、それは的中した。

「早苗さん、太宰さんの知り合いだったんですよね!?何か知りませんか!?是非助言を!」
「……。」

真逆の窮地に思わず黙り込んで視線を彷徨わせてしまう。一体どう答えればいいのだろう。

「……敦さん。世の中には知らなくていいことが沢山ある。ほどほどにしておいた方が身のためだと思う」

――と、云えたら良いのだが。無理だ。後ろ暗い前職であることを完全に仄めかして自爆しかねない。
困り果てた視線は自然と太宰さんへと向かったが、当の本人はにっこりと微笑んで……いるように見せかけて圧を発している。具体的には「余計なことは云うな」と。

(それくらい判ってますから)

そんな阿呆な事をやらかすように見えるのか、と不満を抱きつつ、私は敦さんに視線を戻した。

「確かに知り合いだけど、そこまでは知らない」
「そうですか……」

良心の呵責に苛まれながらもそう云うと、敦さんは肩を落とす。が、その時。

「おや、早苗。嘘はよくないよ?君知ってるじゃない。だって私の元部下だし」
「何がしたいんですか貴方は。」

真逆の爆弾発言に驚愕の視線が四方から突き刺さり、思わず湯飲みを握る手にぎしりと力が籠もった。この性悪木乃伊男はどうしても私を困らせて遊びたいらしい。

(この性悪、愉快犯……!)

その他内心で語彙の限りを尽くした罵倒を叩きつけていると、敦さんがそわそわしながら「それでその、助言は……」と促してきて、私は深い深い溜息を吐いた。

「…太宰さん、恨みますよ」
「うふふ」

何故か満足げに笑う性悪を睨み付けてから、私は餌を待つ犬のように目を輝かせる敦さんを見上げた。

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霜夜華(プロフ) - 有彩さん» 遅れましてすみません!公開しました!そしてお褒め下さってありがとうございます(*^_^*) (2019年11月28日 1時) (レス) id: 64f91c64f2 (このIDを非表示/違反報告)
有彩 - とても面白くい作品です!!続編が、楽しみです!何日くらいに、なるのでしょうか! (2019年11月28日 0時) (レス) id: b0517c2008 (このIDを非表示/違反報告)
霜夜華(プロフ) - 細波幸近さん» ありがとうございます!のんびりですが、続きも頑張って書いていきますね!(*´ω`*) (2019年11月16日 21時) (レス) id: fee3f25fa7 (このIDを非表示/違反報告)
細波幸近(プロフ) - いつも読ませて頂いています!とても面白会です! (2019年11月16日 21時) (レス) id: a768fd0174 (このIDを非表示/違反報告)
霜夜華(プロフ) - かぼすジュースさん» ありがとうございますー!ノロノロ更新ですが、楽しんで頂けたら嬉しいです! (2019年8月5日 22時) (レス) id: fee3f25fa7 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:霜夜華 | 作成日時:2019年6月10日 15時

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