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「おい、落ち着け少年」
「来るなァ!吹き飛ばすよ!」

そう話しかけた国木田さんを、犯人は起爆装置を向けて牽制する。どうやら先程の無言のじゃんけんは、どちらが犯人を説得するか決める為のものだったらしい。口にはしないが、国木田さんと太宰さんは結構通じ合っているのかもしれない。
ぐっと詰まった国木田さんを犯人は鋭く睨み付け、一層殺気立って叫ぶ。

「知ってるぞ、アンタは国木田だ!アンタもあの嫌味な『能力』とやらを使うンだろ!?妙な素振りを見せたら、皆道連れだ!」

完全に聞く耳を持たない犯人の姿に、「まずいね、これは」と太宰さんは呟く。

「探偵社に私怨を持つだけあって、社員の顔と名前を調べてる。社員の私が行っても、余計警戒されるだけか……。却説、どうしたものか」
「……」

再び考え始める太宰さんを見て、それから私は犯人の足下にある爆弾をもう一度確認してみた。国木田さんがいる所為で見えないかと思ったが、特に問題はない。ちゃんと見える。

(見えるのであれば、やれる(・・・))

説得も駄目で社員も駄目。しかし私の異能ならば、この状況を一瞬で解決できる。私の異能の効果のひとつは、『命に関わる危険物を破壊する』ことなので、爆弾を破壊することなど造作も無い。

「あの、太宰さん。ここは私が――」

そう思って話しかけたのだが、私の云いたいことを察したらしい太宰さんは、何故かその白く細い人差し指を立てて続きを云わせなかった。

「それは駄目」
「え……でも」

真逆反対されるとは思ってもみず、戸惑った私の耳元に太宰さんは顔を寄せるとそっと囁いた。

「君の能力は、出来るだけ使わない方がいい。知らないだろうけれど、君の存在は黒社会だけでなく、この界隈でも有名だ。探偵社は勘の良い人間が多いからね。バレるといろいろと面倒なことになる」
「それは……そう、ですが」

ならばどうするのかと目を向けると、太宰さんは安心させるように微笑んだ。

「大丈夫。その代わりと云ってはなんだけど、君と敦君にはあることをやってもらうよ」
「僕達に……ですか?」
「そ」

そう云って、太宰さんが向けてきたのは寒気がする程良い笑顔だった。昨晩同様――嫌な予感しかしない。

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霜夜華(プロフ) - 有彩さん» 遅れましてすみません!公開しました!そしてお褒め下さってありがとうございます(*^_^*) (2019年11月28日 1時) (レス) id: 64f91c64f2 (このIDを非表示/違反報告)
有彩 - とても面白くい作品です!!続編が、楽しみです!何日くらいに、なるのでしょうか! (2019年11月28日 0時) (レス) id: b0517c2008 (このIDを非表示/違反報告)
霜夜華(プロフ) - 細波幸近さん» ありがとうございます!のんびりですが、続きも頑張って書いていきますね!(*´ω`*) (2019年11月16日 21時) (レス) id: fee3f25fa7 (このIDを非表示/違反報告)
細波幸近(プロフ) - いつも読ませて頂いています!とても面白会です! (2019年11月16日 21時) (レス) id: a768fd0174 (このIDを非表示/違反報告)
霜夜華(プロフ) - かぼすジュースさん» ありがとうございますー!ノロノロ更新ですが、楽しんで頂けたら嬉しいです! (2019年8月5日 22時) (レス) id: fee3f25fa7 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:霜夜華 | 作成日時:2019年6月10日 15時

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