気になるあの子は蕎麦屋の子 3【轟焦凍】 (ページ7)

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体育祭 22 ページ7

あの後、焦凍くんは泣き止むまで
私についててくれた。

今は試合が近いから控え室へ行った。

コンコン

『はい』

リカバリーガールかと思ったら、
違う人が来た。

「怪我、大丈夫か？」

『その声は、人使かな？』

正解、と言って近くまで歩いて来た。
椅子に座ったのか少し軋む音がした。

「A、去年より強くなったな」

『そうかな？人使に言われると嬉しいや』

負けたのに強くなったと言ってくれる彼は、
去年から本当に私を見てくれていたんだと実感させられる。

今、来てくれたのは丁度いいかもしれない。

『えっと、前の返事なんだけど……』

「あぁ」

『……人使の気持ちには答えられない。私、好きな人がいるの。すごく大切な人なの』

ゆっくり言葉を選びながら言うと、
フッと鼻で笑う声が聞こえた。

「……轟焦凍だろ？知ってた」

『え"！？』

な、ななななななんで！？！？
あ、相手まで知ってるの！？！？

「1年もAを見てたんだ、変化くらいわかる。

……まぁ、悔しいけどよ。Aが幸せならそれでいい」

ぽん、と頭に手を置き人撫でしてから立ち上がった。

「Aも頑張って気持ち伝えろよ。俺は応援してるからよ」

それだけ言って扉が閉まる音がした。