万里の時を駆ける3[Dr.STONE]

スギナ絞るのめっちゃ時間かかるらしかった ページ38

「はいこれ、スギナ」

クロムの倉庫には、スギナの束(といっても、私が散歩で集めたものだけれど)が結構な量があって、とりあえず全部持って来た。

部長は相変わらずの腫れ顔で黙々と作業をこなしていて、なんだかこっちが申し訳なくなってくる。

「来たか」部長はこちらを振り向く。

かゆくて一ミリも進まねえと、ぼそぼそ言いながらスギナ束を受け取った。

「じゃあスギナ汁絞って塗るか」

「……はっ？」思わず、声がうわずった。

「あの、言っておくけど、数時間や一日じゃできないからね？」

「あ？」

んだと？と言いたげな部長は私の目を食い入るように見た。アンパンマンだから怖い。しかし誤解されてはたまらないので、構わず続ける。

「絞るったって、時間かかるに決まってるでしょ。まさか雑巾みたいに絞るつもり？」

普通は重石でものせて、日を置いて絞るのだ。１日は絶対かかる。

部長は顔を曇らせていたが、私に近づいて言った。

「……もっと早く教えろバカ」

コツンと、私の頭を小突かれる。部長こそ、たまにすごくバカなんだな。

「うるしかぶれだって治るのに2、3日かかるよ？その間にスギナ汁できるからさ。それまで我慢しててよ」

なだめるように言うと、部長は意味深なことを言った。

「俺はな、治るんだよ。ちょっと時間が経てばな(・・・・・・・・・・・)」


ちょっと時間が経てば？


どういうこと？私は一言一言を脳内再生するが、分からなかった。

「どういうこと？」

「スギナ汁があればもっといいってだけだ。かゆいしな。だがなくてもソッコーで治る」

色々と都合があんだよ、とまたさらに意味が分からないことを話続ける部長。都合？誰の都合だ？

「う、ん？まあよく分からないけど……大丈夫ならいいか？」

私は唸りつつも、そういうことにしておいた。




スギナをわざわざ戻しに行った後のこと。部長の顔が綺麗さっぱり、もとの整った顔に戻っていたのを見て、私が悲鳴を上げたのは、また別の話だ。

＊＊＊＊＊＊＊ ＊

大分更新遅れました。言い訳としては、模試があったからです。

あと都合というのは、作者の都合ってやつです笑
どんなにかぶれても次のコマでは治ってるやつ。

あとはスギナってそう早くには絞れないっていうのを今日知って焦った後の後付けとかです。すみませんでした。

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