今こそ話そう 3700年前、何があったのか ページ43
部長が言ったことは、否定的に聞こえたのだろう。クロムが落胆したような声を出す。
「…やっぱ出来ねえのか……？」
「……いや、そうじゃねえ」部長はそれに小さく首を振る。「そうだな……クロム」
「テメーには、全部話しといた方がいい。3700年前に何が起きたのか…崩壊前の世界のことを」
「え、今ここで話すの？」扉を開ける。もう外から光は入って来ず、空には宵の明星が輝いている。もうすっかり夜なのだ。
「ああ。おやつでも用意しとけ。話が長くなるかもしんねえしな」
「おやつ？うーん。しょうがないね、私のグミのドライフルーツをあげるよ」
渋々懐のポーチからグミを取り出す。まだキャンプで暮らしていた時に作ったものだ。喉が渇いたらクロムのセンブリでも使わせて貰おう。
「冗談のつもりだったんだがな。まァいいか…」
「そんな事よりも！3700年前ってどういう事だ？テメーらは何者なんだ？」
ぺたんと正座になり、言いつつも渡されたグミを口に運ぶクロム。
部長(とたまに私)は、一つの灯りを囲んで、そんなクロムに説明した。
3700年前、栄えていた文明。
人類の歩んだ、科学の歴史を。
飛行機、宇宙船、アンドロイドへの発展。
そして巻き起こる、石化の光。
それによって文明は一瞬にして消え去り、私達はどうにか石化を破ったということ。
黙って話を聞いていたクロムは、隠そうともしないで、ぼろぼろと涙をこぼしていた。
(クロム…)
私には、クロムが涙を流す理由が分かった気がした。
しかし隣に座る部長は分からなかったようだ。ドン引きして尋ねる。
「なんでいきなりガン泣きだよ？どうなってんだテメーの情緒」
「泣いてねーよ！いやクッソ泣いてる！誰だよその石化の犯人はよ！見つけたらブッ殺してやる！」クロムは拳を強く握り締めた。
「悔しいじゃねーかよ…先輩人類たちが何百万年もかけて、ジワジワ作ってった…そんなヤベー科学文明が！
一瞬で…アッサリ全部消されちまったのが、悔しくてしょうがねえんだよ！」
本当に、石化前に生きていて欲しかったなと、改めて思った。
クロムは情に厚く、好奇心の溢れた、凄くいい奴なのだ。
私は部長と顔を見合せて、静かに笑い合った。
「ふふふ、まだ…まだ科学は消えてないよ」
「あ゛ぁ簡単に消されてたまるかってんだ」
クロムは、信じられない、という顔をする。
「??じゃあどこにあるって……」
その言葉を待っていたかのように、私と部長は声を揃えた。
「「ここに」」
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長庚 - ぽぽぽさん» お言葉物凄く支えになります、更新頑張らせていただきます！ (10月6日 16時) (
レス) id: 02c9f82314 (このIDを非表示/違反報告)
ぽぽぽ(プロフ) - うおおおおおお！更新頻度高くてすごい助かります！！普通に話作るのうますぎて吐きそう！！頑張れええ！！ (10月6日 0時) (レス) @page39 id: 84325108d2 (このIDを非表示/違反報告)
長庚 - ありがとうございますー！実は風邪ひいてしまってですね……体調には気をつけます！(*｀･ω･)ゞ (10月2日 19時) (レス) id: 02c9f82314 (このIDを非表示/違反報告)
ぽぽぽ(プロフ) - んふふふふふふ。何これ面白い…可愛い…。体調に気をつけて更新頑張ってください！ (10月2日 17時) (レス) @page33 id: 84325108d2 (このIDを非表示/違反報告)
長庚 - マジモンの名無しさん» ありがとうございます！これからも作品の腕を上げて参ります！ (9月28日 21時) (レス) @page29 id: 02c9f82314 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：長庚 | 作成日時：2023年9月12日 22時
