倉庫をいただきました。 ページ40
「司……なんの話だ!」クロムは知らぬ男の名前を言われて、顔をしかめる。
「だ・か・ら、部長?もう少し交渉らしくやろうか。私が付いてきた意味が無くなくなりますよー」
私の声は聞こえたのだろうか。分からないが、部長はお構い無しに続ける。
「クククテメーと一緒にこの科学倉庫もな!ぜひ王国に欲しいところだ」
「や、やらねーよバカ!降りろ!」梯子に手を掛けた部長にあたふたとするクロム。そして、取っておきをひけらかすように言った。
「なら!俺と最後の勝負だ!」
「…勝負?」
今までのは果たして勝負だったのかが怪しいところではあるが、これが最後の勝負らしい。
「負けたら土下座して二度と村に来んじゃねー。テメー……テメーらが勝ったら倉庫ごとくれてやるよ」
そして今度の妖術(?)は、クロムが一番自信がありそうだ。故に負けた時の代償も大きい。少しの不安を覚える。
「ヤベー術見せてやるぜ!生まれてこのかた誰にも負けたことねえ!」
クロムは大きく息を吸い込んでから、堂々の宣戦布告をした。
「算術だ!数字で、俺と闘え!」
「それは君、この二人の圧勝の未来しか見えないが…」
何も不安になることはなかったようだ。
さっきまで硫黄ボールで遊んでいたコハクの一言により、クロムは即座に敗戦を喫した。
******* *
クロムの倉庫の中は、思っていたよりも広かった。
壁に沿って造られた棚に、沢山の壺や土器が置かれていて、どれにも溢れんばかりの鉱石が盛られている。
「唆るじゃねぇか!こんだけ種類集めんのに何年かかったクロムテメー!」
「見たかヤベーだろ。妖術算術じゃボロ負……あ、いや、今日は調子が悪かったが…コレクションなら負けねーぜ!」クロムが何か慌てて言い直した気がするが、それが気にならないくらいの鉱石の量だった。
「……これは凄い……」
二人は目をきらきらさせて、鉱石を漁り始めた。
「マラカイト、
「ヤベー硬さだぜそいつは!」
「まるで違いが分からん。石の何にそんなめっぽう熱狂してるんだ君たちは……」コハクが首を傾げる。
「あはは……男はよく分からないね」笑いつつも棚に何があるのかをちらちらと見てしまう。コハクはその目を見逃さなかったようだ。
「うむ……それは君も大概だぞ…」
「ありゃ、バレちゃった?」
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長庚 - ぽぽぽさん» お言葉物凄く支えになります、更新頑張らせていただきます! (10月6日 16時) (レス) id: 02c9f82314 (このIDを非表示/違反報告)
ぽぽぽ(プロフ) - うおおおおおお!更新頻度高くてすごい助かります!!普通に話作るのうますぎて吐きそう!!頑張れええ!! (10月6日 0時) (レス) @page39 id: 84325108d2 (このIDを非表示/違反報告)
長庚 - ありがとうございますー!実は風邪ひいてしまってですね……体調には気をつけます!(*`・ω・)ゞ (10月2日 19時) (レス) id: 02c9f82314 (このIDを非表示/違反報告)
ぽぽぽ(プロフ) - んふふふふふふ。何これ面白い…可愛い…。体調に気をつけて更新頑張ってください! (10月2日 17時) (レス) @page33 id: 84325108d2 (このIDを非表示/違反報告)
長庚 - マジモンの名無しさん» ありがとうございます!これからも作品の腕を上げて参ります! (9月28日 21時) (レス) @page29 id: 02c9f82314 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:長庚 | 作成日時:2023年9月12日 22時