覚えてる訳 ないか。 ページ38
(何だ何だ、種明かしの時間なのかな？)
それならば私も科学使いとして何かせねばという謎の使命感から、私は懐から炭酸カルシウムを取り出した。火の前にしゃがむ。
「地味な赤色を作るなら、私も出来るよ。
えっと何だっけ、あ、『
何だか自分で言ってて恥ずかしながら、炭酸カルシウムをばらばら投入する。
地味にだが、色が変わっているのがはっきりと分かる。安堵。
「おお本当だ！Aも炎の妖術を使えるのか！それは随分と手軽な妖術なのだな！」
コハクの言う"手軽な妖術"に、ふふ、と笑いながら私は妙にしんみりする。
昔もやったな……これ。
そうだ………確か初めてやったのは、あの時━━━
「━━━てっ！」後ろから、コツンと頭を小突かれた。
「何してんだA。炭酸カルシウムはここじゃ貴重なんだぞ？」地味に笑いながら、部長が子供を叱るように言う。
「知ってる」私は少し口を尖らせて言い返す。
"知ってる"という言葉は、いつの間にか口癖になってしまっているようだ。
「その……何かね、凄く懐かしいなー、って思ってね」息を吐くようにゆっくりと言った。
私の感慨に、珍しく部長は興味を示した。
「懐かしい？ほーん………。そんな前からやってたのか。
いつ初めて見たんだ？炎色反応」
その返しに、どこか引っ掛かれたような気分になった。
……………。
………やっぱり、分からない、か。
「…………さあね」
「……………？」
目を細めて微笑む私に、部長はそれ以上何も言わなかった。
「お、おいテメーら！まだ勝負は終わっちゃいねーぞ！」
そこに元気なクロムが介入してきた。
クロムはだらだらと汗を掻いていて、部長が速攻で何か当ててしまった事への焦りだと分かる。
「ま、まさかこんなハッタリくせーのだけだと思ってんじゃねえだろーな！
待ってろ！マジでとっときの攻撃できる奴持ってくっからな！今度はマジでヤベーぞ！」
そうまくし立ててから、また建物の中へ飛び込んでいくクロム。
「またなんか取りに行った」
「だから場所変えたのか」
「要は道具が必要だったのだな」
銀狼、金狼、コハクが、口を揃えて言った。
がさごそと建物の中から音がして、きれいな球体を持ったクロムが帰って来た。
今度はその球で何をするんだ……？
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長庚 - ぽぽぽさん» お言葉物凄く支えになります、更新頑張らせていただきます！ (10月6日 16時) (
レス) id: 02c9f82314 (このIDを非表示/違反報告)
ぽぽぽ(プロフ) - うおおおおおお！更新頻度高くてすごい助かります！！普通に話作るのうますぎて吐きそう！！頑張れええ！！ (10月6日 0時) (レス) @page39 id: 84325108d2 (このIDを非表示/違反報告)
長庚 - ありがとうございますー！実は風邪ひいてしまってですね……体調には気をつけます！(*｀･ω･)ゞ (10月2日 19時) (レス) id: 02c9f82314 (このIDを非表示/違反報告)
ぽぽぽ(プロフ) - んふふふふふふ。何これ面白い…可愛い…。体調に気をつけて更新頑張ってください！ (10月2日 17時) (レス) @page33 id: 84325108d2 (このIDを非表示/違反報告)
長庚 - マジモンの名無しさん» ありがとうございます！これからも作品の腕を上げて参ります！ (9月28日 21時) (レス) @page29 id: 02c9f82314 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：長庚 | 作成日時：2023年9月12日 22時
