レインボーブリッジ ページ37
「ん?何でいつの間に勝負する流れになってるの?これ」村を出る橋を渡りながら、私は部長に訊いた。
「あ?んなこと俺に訊くなよ、知らねえから」
「む、それはそうだね」
確かに、何故部長に訊いたのだろうと思いながら、ニコニコと部長の話を聞く。
「それに別に勝負ったって、科学が負けるわけねえ。何たってこっちは科学力二人分だ」
部長は遠くを見て、小さく笑った。
「そうだね。その為に私がわざわざ部長に付いて来たんだからね」私はにこりと笑い返して、前を向いた。
「それは…………まあそうだが…」
「……?」
何だまだ言いたい事でもあったのかと部長に尋ねようとする前に、前方に高床式の建物が見えた。
辺りは木も生えておらず、ちゃんと整備されているなあと少し感心する。
「おうちょっと!ちょ〜〜っとここで待ってろ!」
高床式建物が目の前に見えた頃、クロムがそう言って建物の中に一目散で走っていった。因みにクロムは、さっき投げ捨てた上着をきちんと回収していった。
「……??」
次に薪の束と火打ち石を抱えて持ってきたクロムは、薪に火を点けんと忙しそうにしていた。
(妖術使いとは言っても準備はあるんだ)
心の声をそよに、準備が出来たクロムは両手を大きく広げ、さっきの忙しそうな顔が嘘のように、高らかに声を上げた。
「見とけ!俺のヤベー妖術!」
いつの間にか創られた荘厳な雰囲気に、皆がごくりと唾を呑む。
「『
俺は炎を、自在に操る!!」
クロムがそう叫んだ瞬間、炎が鮮やかな黄色に染められた。
「急に炎が黄色に!?」
銀狼が一番に白目を剥いた。構わず炎は変色を続ける。
「また変わったぁ!青緑!?
紫ぃ!?すごい!これが……!!」
「妖術……」銀狼の言葉を引き継ぐように、コハクが呆然と言う。
まあ科学で言うところの、炎色反応である。そしてレインボーブリッジというと、何か違う橋を連想させられる。
クロムを恐れる三人を横目に、部長と私は、何とも言えないような顔をして見ていた。
「何がレインボーブリッジだ。フッツ〜の炎色反応じゃねえか。塩↓銅↓硫黄↓の順でブチ込んだだけだろが」部長は立ち上がってクロムに近づく。
「銅はなんだ?硫酸銅とかか?……つってもわかんねえか。
洞窟でかっぱらってきた青い結晶だろ」
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長庚 - ぽぽぽさん» お言葉物凄く支えになります、更新頑張らせていただきます! (10月6日 16時) (レス) id: 02c9f82314 (このIDを非表示/違反報告)
ぽぽぽ(プロフ) - うおおおおおお!更新頻度高くてすごい助かります!!普通に話作るのうますぎて吐きそう!!頑張れええ!! (10月6日 0時) (レス) @page39 id: 84325108d2 (このIDを非表示/違反報告)
長庚 - ありがとうございますー!実は風邪ひいてしまってですね……体調には気をつけます!(*`・ω・)ゞ (10月2日 19時) (レス) id: 02c9f82314 (このIDを非表示/違反報告)
ぽぽぽ(プロフ) - んふふふふふふ。何これ面白い…可愛い…。体調に気をつけて更新頑張ってください! (10月2日 17時) (レス) @page33 id: 84325108d2 (このIDを非表示/違反報告)
長庚 - マジモンの名無しさん» ありがとうございます!これからも作品の腕を上げて参ります! (9月28日 21時) (レス) @page29 id: 02c9f82314 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:長庚 | 作成日時:2023年9月12日 22時