検索窓
今日:42 hit、昨日:25 hit、合計:27,724 hit

レインボーブリッジ ページ37

「ん?何でいつの間に勝負する流れになってるの?これ」村を出る橋を渡りながら、私は部長に訊いた。

「あ?んなこと俺に訊くなよ、知らねえから」

「む、それはそうだね」

確かに、何故部長に訊いたのだろうと思いながら、ニコニコと部長の話を聞く。

「それに別に勝負ったって、科学が負けるわけねえ。何たってこっちは科学力二人分だ」

部長は遠くを見て、小さく笑った。

「そうだね。その為に私がわざわざ部長に付いて来たんだからね」私はにこりと笑い返して、前を向いた。

「それは…………まあそうだが…」

「……?」

何だまだ言いたい事でもあったのかと部長に尋ねようとする前に、前方に高床式の建物が見えた。

辺りは木も生えておらず、ちゃんと整備されているなあと少し感心する。

「おうちょっと!ちょ〜〜っとここで待ってろ!」

高床式建物が目の前に見えた頃、クロムがそう言って建物の中に一目散で走っていった。因みにクロムは、さっき投げ捨てた上着をきちんと回収していった。

「……??」

次に薪の束と火打ち石を抱えて持ってきたクロムは、薪に火を点けんと忙しそうにしていた。

(妖術使いとは言っても準備はあるんだ)

心の声をそよに、準備が出来たクロムは両手を大きく広げ、さっきの忙しそうな顔が嘘のように、高らかに声を上げた。

「見とけ!俺のヤベー妖術!」

いつの間にか創られた荘厳な雰囲気に、皆がごくりと唾を呑む。

「『七色炎橋(レインボーブリッジ)』!!

俺は炎を、自在に操る!!」

クロムがそう叫んだ瞬間、炎が鮮やかな黄色に染められた。

「急に炎が黄色に!?」

銀狼が一番に白目を剥いた。構わず炎は変色を続ける。

「また変わったぁ!青緑!?

紫ぃ!?すごい!これが……!!」

「妖術……」銀狼の言葉を引き継ぐように、コハクが呆然と言う。

まあ科学で言うところの、炎色反応である。そしてレインボーブリッジというと、何か違う橋を連想させられる。

クロムを恐れる三人を横目に、部長と私は、何とも言えないような顔をして見ていた。

「何がレインボーブリッジだ。フッツ〜の炎色反応じゃねえか。塩↓銅↓硫黄↓の順でブチ込んだだけだろが」部長は立ち上がってクロムに近づく。

「銅はなんだ?硫酸銅とかか?……つってもわかんねえか。

洞窟でかっぱらってきた青い結晶だろ」

覚えてる訳 ないか。→←chromium



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (30 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
79人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

長庚 - ぽぽぽさん» お言葉物凄く支えになります、更新頑張らせていただきます! (10月6日 16時) (レス) id: 02c9f82314 (このIDを非表示/違反報告)
ぽぽぽ(プロフ) - うおおおおおお!更新頻度高くてすごい助かります!!普通に話作るのうますぎて吐きそう!!頑張れええ!! (10月6日 0時) (レス) @page39 id: 84325108d2 (このIDを非表示/違反報告)
長庚 - ありがとうございますー!実は風邪ひいてしまってですね……体調には気をつけます!(*`・ω・)ゞ (10月2日 19時) (レス) id: 02c9f82314 (このIDを非表示/違反報告)
ぽぽぽ(プロフ) - んふふふふふふ。何これ面白い…可愛い…。体調に気をつけて更新頑張ってください! (10月2日 17時) (レス) @page33 id: 84325108d2 (このIDを非表示/違反報告)
長庚 - マジモンの名無しさん» ありがとうございます!これからも作品の腕を上げて参ります! (9月28日 21時) (レス) @page29 id: 02c9f82314 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:長庚 | 作成日時:2023年9月12日 22時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。