chromium ページ36
「コハク……この村の人は皆あの人みたいな感じなの…？」
おそるおそるコハクの近くに寄る。コハクは首を傾げた。
「あの人、とは銀狼のことか？
ハ！それならばそんな事はないぞ。銀狼だけだ」
なるほど少年Aの名は銀狼で、金狼、銀狼とコハクが言っていたので、少年Bが金狼という訳か。
「ビビってんじゃねーぞ銀狼！」と、そこへひときわ大きな声でこちらを呼ぶ者がいた。
「……！」何だ何だと私はその声の方を見る。
「ん、クロムか」コハクは「来たか」と言いたそうな顔だった。
私達がシャボン玉で遊んでいるところへ、新客がやって来たようだ。頭にハチマキのようなものを巻いた少年がこちらに仁王立ちしていた。
「俺ならもう駆けつけてるぜ！沿岸から見えたぜこいつがよ！即来なきゃウソだぜ！」
所々穴が開いた、マントのような上着を翻し、少年は言う。
「よう、俺はクロム！ヤベーほど頭の切れる天才妖術使いだ！」
それに反応してコハクが私達に紹介する。
「探す手間が省けたな。ヤツはクロム。実にチョロく、仲間にすれば頼もしい男だ」
「おいコハク！俺がもう名前言っただろ！」
「おお、それはすまない」全く何とも思っていない様子でコハクが謝った。その間私は別の事を考える。
(この村の人の名前って、もしかして全員鉱石になっているのか？)
コハク、金、銀、クロム。鉱石の知識はあるのに、科学の知識は皆無と。
謎多き村だなあ…。
「妖術使いねぇ〜。俺は千空。そこの奴と含めて科学使いだ」
部長はそこの奴、と指で私を指す。
「あ、私はA。私も科学使い？だね」
クロムと呼ばれた少年は、シャボン玉に臆することなく一つ一つ割っていく。
「セッコい妖術にビビってんじゃねーぞ金狼銀狼！こんなもんはよ、木炭のアクからいくらでも作れんだよ！」
「…………！」私はハッとした。何とこのクロムとかいう奴、シャボン玉が作れる少年だったか。
「ビビってなどいない。未知の物を警戒しないのはただの間抜けだ！」
「僕はフツーにビビってたけどねぇ」銀狼が付け足すように呟く。
「そもそも何をしに来たクロム！俺は貴様の怪しげな妖術とやらに頼る気はない！」
金狼の物言いにクロムは強気で
「構いやしねー、好きにしな！だがな、ここだけは譲れねー！
妖術なら負けねー！お前らは手ェ出すんじゃねーぞ！」
と、上着を今度はその辺に投げ捨てた。
「ここで闘っちゃ村の連中巻き込んで危ねぇ。場所だけは変えようぜ」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 79人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
長庚 - ぽぽぽさん» お言葉物凄く支えになります、更新頑張らせていただきます！ (10月6日 16時) (
レス) id: 02c9f82314 (このIDを非表示/違反報告)
ぽぽぽ(プロフ) - うおおおおおお！更新頻度高くてすごい助かります！！普通に話作るのうますぎて吐きそう！！頑張れええ！！ (10月6日 0時) (レス) @page39 id: 84325108d2 (このIDを非表示/違反報告)
長庚 - ありがとうございますー！実は風邪ひいてしまってですね……体調には気をつけます！(*｀･ω･)ゞ (10月2日 19時) (レス) id: 02c9f82314 (このIDを非表示/違反報告)
ぽぽぽ(プロフ) - んふふふふふふ。何これ面白い…可愛い…。体調に気をつけて更新頑張ってください！ (10月2日 17時) (レス) @page33 id: 84325108d2 (このIDを非表示/違反報告)
長庚 - マジモンの名無しさん» ありがとうございます！これからも作品の腕を上げて参ります！ (9月28日 21時) (レス) @page29 id: 02c9f82314 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：長庚 | 作成日時：2023年9月12日 22時
