検索窓
今日:9 hit、昨日:53 hit、合計:27,744 hit

ページ31

明くる朝である。

早速、コハクの村へ行こうといそいそと準備を始めたのだが。

「ああ、村へ行く前に、別で行きたいところがあるのだ」

コハクが言うので、私たちはそれについて行った。

「村はここから遠いの?」

コハクの隣を歩きながら尋ねる。多分、コハクは同い年だろうなと思いつつ、辺りを見渡す。

森を抜けると、朝の光が直に目に刺さる。眩しい。

「私は毎日ここに来ているのでな。遠いとは思わないが……」

「毎日?」私は目をぱちくりさせる。

毎日来ているのか。コハクの方を見ると、コハクは「そうだ」と返した。

「毎日お湯を汲みにここへ来ている」

「お湯ー?」部長が眠そうに訊く。

ふと、近くに水瓶らしき土器が置いてあるのを見つけた。

コハクはよいしょとそれを持ち、先に進む。目の先に、何か湯気のようなものが昇っているのが分かる。

ため池のようなところに、白く濁った湯が揺らめいていた。

「温泉……」私はぼそりと呟く。ここにもあったのか。

ごぼごぼと音をたてながら、水瓶の中に湯が流れていく。

「運んで帰って、温泉の風呂を作る」

「療養のためにな」と言って、コハクは水瓶を両手で抱える。

おそらく、尋常じゃないくらいに重いだろう。

「どう見ても100億%優良児じゃねえかテメー。お元気一杯雌ライオンがそれ以上療養してどうすんだ」

そこへ部長が、空気を読まない発言をする。

「め、雌ライオン!?」コハクはそんな事を言われるとは思わず、少し傷付いたような顔をして叫ぶ。

ようやく部長の口の悪さが分かったと言う訳だ。

「気にしないで…。部長はそういう奴」苦笑しながら慰めてやる。

「ああ、全く実に腹が立つな。療養するのは、私じゃなく姉者だ!!」

部長を睨み付けていたが、すぐに顔を前に向ける。

「全く……実に迷惑千万の足手まといな姉者だ。最近はとくに具合が優れない」さっきとはうって変わって、心配するような表情を見せた。

「私のこの、あり余る健康体と代わってあげられるものならな」

50リットルはモテませんでした→←聖母のような微笑み(コハク)



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (30 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
79人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

長庚 - ぽぽぽさん» お言葉物凄く支えになります、更新頑張らせていただきます! (10月6日 16時) (レス) id: 02c9f82314 (このIDを非表示/違反報告)
ぽぽぽ(プロフ) - うおおおおおお!更新頻度高くてすごい助かります!!普通に話作るのうますぎて吐きそう!!頑張れええ!! (10月6日 0時) (レス) @page39 id: 84325108d2 (このIDを非表示/違反報告)
長庚 - ありがとうございますー!実は風邪ひいてしまってですね……体調には気をつけます!(*`・ω・)ゞ (10月2日 19時) (レス) id: 02c9f82314 (このIDを非表示/違反報告)
ぽぽぽ(プロフ) - んふふふふふふ。何これ面白い…可愛い…。体調に気をつけて更新頑張ってください! (10月2日 17時) (レス) @page33 id: 84325108d2 (このIDを非表示/違反報告)
長庚 - マジモンの名無しさん» ありがとうございます!これからも作品の腕を上げて参ります! (9月28日 21時) (レス) @page29 id: 02c9f82314 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:長庚 | 作成日時:2023年9月12日 22時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。