重さ ページ27
「テメー本人じゃなきゃ分からねえ二択なんだ!ソッコーで決めろ!どっちだ!?」しかし部長はそんなことはどうだっていいというような口振りで言った。
部長の言葉に気圧されたように、しかし力強く少女が答える。
「ああ、内臓も骨も無事だ。粘れる!」
すると部長はくるりと振り返り、私を見る。
「おし、A手伝え。これから俺がやろうとすることぐらい分かんだろ」
私も意外と信頼されているのだろうか…。
「…うん。やろう」
私のそれを合図に、私たちは動き出した。
「A、テメー体重どんくらいあんだ?」部長はガンガンと木のはしくれを石器で削りながら訊いてきた。
「……部長、そういうのは気軽に訊いちゃいけないと思うんだ」私は紐を
こんなに普通に体重を訊く男がいるだろうか。
まあ私は別に体重を訊かれても、レディに何てことを訊くの、とか、失礼な奴だ、とかは思わない(実際、体重を訊かれた事は無いが)。
しかし部長のそういうところは、らしいといえばそうなのだが、直球すぎるというのはある。
「あ゛ーそういう"言ったら恥ずかしい"、みてえな非合理的なご回答はいらねえからな。
大体、Aは恥ずかしくて言えねえような体重じゃねぇだろ」
それはフォローしているのかがよく分からなかったが、多少女性の気持ちも分かるぞ、というような言い草だった。
「そうだね、私は確か四じゅ……」私は思い出すように呟く。
「いや流石に嘘だろ…」部長はそれ一言で私を止めた。
私はニコニコとしたまま硬直する。
「テメー身長いくつだっけか?俺と大して変わんねえだろ。なのに40キロ台なのか?」
「……そうだよ?まあギリギリだけど」
あはは、と笑いながら撚る作業を再開する。部長も静かに木の一角を切り取った。
「ま、まあ大体50キロ、部長が60キロだとして、二人合わせて110キロ」
「あぁ。木が1トンだとして、まあ半分くらい傾ける、=500キロ。110×2²で440だからな、
……おう、滑車二枚で何とかいけんじゃねえか!」
体重は滑車の数を計算するために訊かれただけだったので、それ以上には干渉されなかった。部長が合理主義者でよかった。
ひたすらに紐を撚った後に、一体どこから取ってきたのか分からないが、部長から渡された竹に土を詰めるという作業をこなす。
穴を開けた木に竹を通して、滑車のパーツの完成である。
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長庚 - ぽぽぽさん» お言葉物凄く支えになります、更新頑張らせていただきます! (10月6日 16時) (レス) id: 02c9f82314 (このIDを非表示/違反報告)
ぽぽぽ(プロフ) - うおおおおおお!更新頻度高くてすごい助かります!!普通に話作るのうますぎて吐きそう!!頑張れええ!! (10月6日 0時) (レス) @page39 id: 84325108d2 (このIDを非表示/違反報告)
長庚 - ありがとうございますー!実は風邪ひいてしまってですね……体調には気をつけます!(*`・ω・)ゞ (10月2日 19時) (レス) id: 02c9f82314 (このIDを非表示/違反報告)
ぽぽぽ(プロフ) - んふふふふふふ。何これ面白い…可愛い…。体調に気をつけて更新頑張ってください! (10月2日 17時) (レス) @page33 id: 84325108d2 (このIDを非表示/違反報告)
長庚 - マジモンの名無しさん» ありがとうございます!これからも作品の腕を上げて参ります! (9月28日 21時) (レス) @page29 id: 02c9f82314 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:長庚 | 作成日時:2023年9月12日 22時