繋がった ページ21
「石化がここだけ残って……!」
私たちは目を見合せる。二人も分かったようだ。
「大樹くん!」
杠が復活液を取り出して、大樹にパスした。
「ああ!」
それを受け取り、とくとくと、千空の首にかける。
先程から、にわかにやって来た雨は降り止まない。
低い音を立てて、石が破片となり崩れた。
「石化が解けた!」
それを確認して、私は祈るようにして目をぎゅっと瞑る。
「お願い……。私の目が治ったんだから、治るはず……!」
皆の顔は雨と涙で濡れている。大樹が叫ぶ。
「そうだ!戻ってこい!目を覚ませ千空!お前はこんなところで死ぬタマじゃないだろ!!」
杠は何も言わずに必死に手を組んでいる。
「信じていくらでも待つぞ!お前がいなきゃダメなんだ!
そうだろ!千空!!」
雨の中、何度も何度も呼び掛けた。
例え答えが返ってこなくとも、私たちは部長を呼び続けた。
お願いだから戻ってきて、部長。
雨の音は徐々に小さくなり、辺りが少し明るくなった。
すぐに太陽の光が差し込み、湿った地面を照らしている。
「雨が……やんだ……」
私たちはその木漏れ日に光を目を細める。
と、ふいに背後から声が聞こえた。
「カモフラージュになってた雷雨の音が消えたんだ。もう大声で叫ぶんじゃねえぞ。司に聞こえたら一発アウトだ」
………!!
この声は……。
「うむ!たしかに」
「来てないよね司くん!」
二人とも気付いてないようだ。
「部長……」
私がそう呟くと、二人もはっとして後ろを振り返った。
「千…」
「空…」
「ククク…よく首に気づきやがったな。ゴミみてえな小せえヒントから……
テメーら三人に100億万点やるよ」
部長が、何事もなかったかのようにそこに立っていた。
「うおおおおおおおおおお!」
大樹が狂喜にも、部長を身体が潰れそうなくらい強く抱き締めた。間一髪、部長は大樹を蹴っ飛ばした。
「頚神経どころか全身もれなく砕け散ったじゃねえか!殺すぞ!」
ゼエゼエとした息を整えて、部長は言う。
「ククク……わかってっと思うがな、逐一感謝のお言葉を垂れ流すんじゃねえぞ。俺も言わねえ」
「うん……って言っても、殆どAちゃんのお陰なんだけどね」杠は涙ながらに笑った。
「復活液を使うことも、千空くんの首に石化が残ってたところがあるって予想したのもAちゃん」
ふーん、と言いたげな顔で部長は私を見る。
「私の目が治ったんだから、いけるかな……って思った」
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長庚 - ぽぽぽさん» お言葉物凄く支えになります、更新頑張らせていただきます! (10月6日 16時) (レス) id: 02c9f82314 (このIDを非表示/違反報告)
ぽぽぽ(プロフ) - うおおおおおお!更新頻度高くてすごい助かります!!普通に話作るのうますぎて吐きそう!!頑張れええ!! (10月6日 0時) (レス) @page39 id: 84325108d2 (このIDを非表示/違反報告)
長庚 - ありがとうございますー!実は風邪ひいてしまってですね……体調には気をつけます!(*`・ω・)ゞ (10月2日 19時) (レス) id: 02c9f82314 (このIDを非表示/違反報告)
ぽぽぽ(プロフ) - んふふふふふふ。何これ面白い…可愛い…。体調に気をつけて更新頑張ってください! (10月2日 17時) (レス) @page33 id: 84325108d2 (このIDを非表示/違反報告)
長庚 - マジモンの名無しさん» ありがとうございます!これからも作品の腕を上げて参ります! (9月28日 21時) (レス) @page29 id: 02c9f82314 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:長庚 | 作成日時:2023年9月12日 22時