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繋がる ページ20

「心臓マッサージ………やり方あってるのかもわからん!」

私たちは逃げた先で、どうにか部長の蘇生を試みた。

「無理だよ大樹……。損傷したのは心臓じゃなくて首の頚神経だから、そこが治らないと蘇生は出来ない」

「それでもやるしかないんだ!

はっ!いや、人工呼吸か!?」

人工呼吸しようとする大樹の絵面がよろしくなかったか、単に部長の身体を思ってなのか、杠がそれを止める。

「ああ!首は動かさない方がいいかも!」

「むう?やはり首なのか??」

二人がどうこう話している間に、私は長考する。

部長は必ず、何か蘇生できる可能性を私たちに託したのだ。

「何かヒントは……部長を蘇生することができるもの……」

ぶつぶつと独り言を零す私に、杠は尋ねる。

「そもそも、神経って治るの……?」

「うーん。現代、いや3700年前の医療なら状況をよくすることはできたよ。

でも今するのは不可能、魔法が起きて、神経全部繋がりました!みたいなのがないと」

こんなことを部長の前で言ったりしたら怒られるだろうな。

首を竦めたところで、私は何かに引っ掛かった。

魔法が起きて、全部繋がりました……?

「繋がる…」

その言葉には聞き覚えがあった。

箱根の山に向かう途中、舟を漕いで川を渡った時。

長い時間が経ったように感じられるが、あれはつい昨日のことだ。

思い返せば、その時何を言ったかも鮮明に再生される。

"なんか痛くなってたのまでひいてく……"

"おおっ!復活液には疲労回復効果もあるのか!?"

"ねえよんなもん。石化が戻る時、細けぇ破損は《繋がる》っつうだけの話だ"

「………細かい破損は繋がる……あ」

それについて、私はもう一つ思い出した事があった。

口には出さなかったが、私が治療のしようがないとされた目の病気。全盲の記憶。

あの時が、人生で一番絶望した瞬間だった。

しかし今はそれを覆すように、私は大樹や杠の姿を見ている。

私の目は、石化によって治されたといえる。

その修復能力を、使えたら。

もしかして……。

「杠、大樹。私の読みが正しければ、部長の首の後ろに、石化の残っている箇所があるはず」

「首の後ろに……?」

二人は目を丸くする。私は大きく頷く。

どうかあってくれ。無いとまたどうするかを探さなくてはいけない。

大樹が部長の身体をくるりとうつ伏せの向きにした。

「………!!」

私たち一同は驚愕する。

きしくも、私のその予想は大当たりであった。

繋がった→←力を合わせた戦い(No side)



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長庚 - ぽぽぽさん» お言葉物凄く支えになります、更新頑張らせていただきます! (10月6日 16時) (レス) id: 02c9f82314 (このIDを非表示/違反報告)
ぽぽぽ(プロフ) - うおおおおおお!更新頻度高くてすごい助かります!!普通に話作るのうますぎて吐きそう!!頑張れええ!! (10月6日 0時) (レス) @page39 id: 84325108d2 (このIDを非表示/違反報告)
長庚 - ありがとうございますー!実は風邪ひいてしまってですね……体調には気をつけます!(*`・ω・)ゞ (10月2日 19時) (レス) id: 02c9f82314 (このIDを非表示/違反報告)
ぽぽぽ(プロフ) - んふふふふふふ。何これ面白い…可愛い…。体調に気をつけて更新頑張ってください! (10月2日 17時) (レス) @page33 id: 84325108d2 (このIDを非表示/違反報告)
長庚 - マジモンの名無しさん» ありがとうございます!これからも作品の腕を上げて参ります! (9月28日 21時) (レス) @page29 id: 02c9f82314 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:長庚 | 作成日時:2023年9月12日 22時

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