部長死す ページ18
ゴキィッ
鈍い音がした。
目が不自然に開いた部長は、重力の法則に従って、後ろに崩れ落ちる。
それだというのに、部長はぴくりとも動かない。
…え?
今、今。
……今ので、
「うあぁぁああ!千空━━!」
いつの間にここまで急いで駆け付けた大樹がそう叫んで、千空を抱える。
今部長は……死んだ?
「ああああああっ!千空ー!へんじ…返事をしてくれ!頼む!そんな…違う…ダメだ!」
何度呼び掛けても、部長は反応しない。
死んだ?
「千空…お前はこんな……こんなところで死んでいいわけないんだ!!いいわけないだろー!!」
大樹も、杠も、泣いている。
ぼろぼろと決壊したダムのように、涙が溢れている。
さっきまで、何が起きているのかよく分からない私はそれを見て。
今何が起きたのか、何で二人が泣いているのか、パニックになっていた頭がクリアになって、伝わってきた。
部長は死んだ。
たった今、司に神経を砕かれて。
「……っ!!」
泣きそうになった。しかし、何とかそれを堪えた。
泣いてはいけない。
何も出来なかった私が泣く権利はない。それよりも、今出来ることをしなくてはならない。
部長がそれを望んでいる。
「苦しんではいないよ。せめて…友達の君たちが手厚く葬ってあげてくれ」司は泣き崩れる私たちを見下ろす。
「こんな事をして……私たちが従うと思うの?」
恨みを込めて言葉を投げると、司もその圧力に負けじと返す。
「従う必要はないよ。文明が元に戻らなければ、何をしてくれたっていい。
彼がいなくなったから、もう科学という脅威はなくなった……」
そこまで言ってから、司は口ごもった。
「……!!」
大樹から、何かおぞましいものを感じたようだ。
大樹は近くにある大岩に手を掛け、持ち上げた。
千空を頼む、と部長の身体を私に預けてくる。
「大樹、」
何をする気だ、と問いかけようとしたが、大樹が口を挟む。
「心配ないぞ、A、それに杠も。俺は冷静だ」
と、私たちだけに聞こえる声で小さく耳打ちをした。
「……………分かった」
それを聞いて、頷くと同時に謝った。
「ごめん二人とも、危険な役をやらせて」
それに二人は否定する。
「やることをやったらすぐに戻ってくるから。全然平気だよ……!!」
「ああそうだ!むしろ千空を護るのが一番大事だからな!」
何か合図をするように、大樹が喝を入れた。
「やるぞ、二人とも!」
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長庚 - ぽぽぽさん» お言葉物凄く支えになります、更新頑張らせていただきます! (10月6日 16時) (レス) id: 02c9f82314 (このIDを非表示/違反報告)
ぽぽぽ(プロフ) - うおおおおおお!更新頻度高くてすごい助かります!!普通に話作るのうますぎて吐きそう!!頑張れええ!! (10月6日 0時) (レス) @page39 id: 84325108d2 (このIDを非表示/違反報告)
長庚 - ありがとうございますー!実は風邪ひいてしまってですね……体調には気をつけます!(*`・ω・)ゞ (10月2日 19時) (レス) id: 02c9f82314 (このIDを非表示/違反報告)
ぽぽぽ(プロフ) - んふふふふふふ。何これ面白い…可愛い…。体調に気をつけて更新頑張ってください! (10月2日 17時) (レス) @page33 id: 84325108d2 (このIDを非表示/違反報告)
長庚 - マジモンの名無しさん» ありがとうございます!これからも作品の腕を上げて参ります! (9月28日 21時) (レス) @page29 id: 02c9f82314 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:長庚 | 作成日時:2023年9月12日 22時