検索窓
今日:20 hit、昨日:25 hit、合計:27,702 hit

襲来 ページ16

火薬を使って、三回爆破を起こした。

一先ずは大丈夫だろう。

これで、"やつら"は気づくだろうか。

これでもし司だけが来て、"やつら"が来なかったら、私たちの火薬三連発の意味が無くなる。

私は念のために、もっと燃えるものもっと集めて来ようと、もう一度森に入ったのだ。

しかし、どうも胸騒ぎがする。何か、悪い展開が待っている予感だけがする。

そして私のその予感は、決まって大体当たる。

取るものだけ取って、出来るだけ速く戻って来たつもりだった。

それでもその悪い展開というのは変わらない。

山頂にいる、黒の長髪をした、大樹よりも大きな男。

私は持っていたものを全て落としてしまった。

何を隠そう、杠や部長の前に立ちはだかるのは、司だったからだ。

落ちたものを拾いもせず、目を見開く。

「つ、司……」

私は一体、何を言えばいいのか分からなかった。

ものを落とした音に気付いた司は、私に笑いかける。

「ああ。Aもいたんだね」

名前を呼ばれて、私は少したじろぐ。

「大丈夫、君に危害は加えないよ」

司の数歩先にいた部長はそれにはっ、と笑った。

「俺が代わりに殺られるからな」

殺られる。昨日も聞いたその言葉に、背筋がぞっと冷たくなる。

殺られる?殺される?

部長が、死ぬ??

「ぶ、ぶちょ…いや千空……?急に何を言ってるの……?殺すとか」

部長と言いそうになって、司の前だったと、慌てて改める。部長は何も言わない。

「何で?司、何で千空を殺す?どうして……」

問いを連ねる私に、司が静かに告げる。

「Aは知っているかもしれないけれど、もう一度言う。千空には、以前の文明を戻すことが出来るだけの、科学の力がある」

司の言葉には、何かの重みがある。冷や汗が止まらない。

「それで文明が戻ってしまえば、世界中の既得権益者達によって、今の若者達の未来が潰されてしまう。

そんな世界にしてはいけないんだよ」

「だからって……殺す、?そこまでして……司の思い通りにしたい………?」

反論することも許されないような雰囲気が醸し出されている。言葉がうまく出せない。

「それを叶えるためなら、俺が力で統べることも厭わない。

千空にもさっき、そう言ったよ」

「…………!!」

司は部長の方を見る。

「だから千空。

今ここで永遠に誓ってくれないか?科学を捨てると!

そうすれば俺は、千空、

君を殺さなくて済むんだ」

何も出来ない→←狼煙を上げろ



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (30 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
79人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

長庚 - ぽぽぽさん» お言葉物凄く支えになります、更新頑張らせていただきます! (10月6日 16時) (レス) id: 02c9f82314 (このIDを非表示/違反報告)
ぽぽぽ(プロフ) - うおおおおおお!更新頻度高くてすごい助かります!!普通に話作るのうますぎて吐きそう!!頑張れええ!! (10月6日 0時) (レス) @page39 id: 84325108d2 (このIDを非表示/違反報告)
長庚 - ありがとうございますー!実は風邪ひいてしまってですね……体調には気をつけます!(*`・ω・)ゞ (10月2日 19時) (レス) id: 02c9f82314 (このIDを非表示/違反報告)
ぽぽぽ(プロフ) - んふふふふふふ。何これ面白い…可愛い…。体調に気をつけて更新頑張ってください! (10月2日 17時) (レス) @page33 id: 84325108d2 (このIDを非表示/違反報告)
長庚 - マジモンの名無しさん» ありがとうございます!これからも作品の腕を上げて参ります! (9月28日 21時) (レス) @page29 id: 02c9f82314 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:長庚 | 作成日時:2023年9月12日 22時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。