襲来 ページ16
火薬を使って、三回爆破を起こした。
一先ずは大丈夫だろう。
これで、"やつら"は気づくだろうか。
これでもし司だけが来て、"やつら"が来なかったら、私たちの火薬三連発の意味が無くなる。
私は念のために、もっと燃えるものもっと集めて来ようと、もう一度森に入ったのだ。
しかし、どうも胸騒ぎがする。何か、悪い展開が待っている予感だけがする。
そして私のその予感は、決まって大体当たる。
取るものだけ取って、出来るだけ速く戻って来たつもりだった。
それでもその悪い展開というのは変わらない。
山頂にいる、黒の長髪をした、大樹よりも大きな男。
私は持っていたものを全て落としてしまった。
何を隠そう、杠や部長の前に立ちはだかるのは、司だったからだ。
落ちたものを拾いもせず、目を見開く。
「つ、司……」
私は一体、何を言えばいいのか分からなかった。
ものを落とした音に気付いた司は、私に笑いかける。
「ああ。Aもいたんだね」
名前を呼ばれて、私は少したじろぐ。
「大丈夫、君に危害は加えないよ」
司の数歩先にいた部長はそれにはっ、と笑った。
「俺が代わりに殺られるからな」
殺られる。昨日も聞いたその言葉に、背筋がぞっと冷たくなる。
殺られる?殺される?
部長が、死ぬ??
「ぶ、ぶちょ…いや千空……?急に何を言ってるの……?殺すとか」
部長と言いそうになって、司の前だったと、慌てて改める。部長は何も言わない。
「何で?司、何で千空を殺す?どうして……」
問いを連ねる私に、司が静かに告げる。
「Aは知っているかもしれないけれど、もう一度言う。千空には、以前の文明を戻すことが出来るだけの、科学の力がある」
司の言葉には、何かの重みがある。冷や汗が止まらない。
「それで文明が戻ってしまえば、世界中の既得権益者達によって、今の若者達の未来が潰されてしまう。
そんな世界にしてはいけないんだよ」
「だからって……殺す、?そこまでして……司の思い通りにしたい………?」
反論することも許されないような雰囲気が醸し出されている。言葉がうまく出せない。
「それを叶えるためなら、俺が力で統べることも厭わない。
千空にもさっき、そう言ったよ」
「…………!!」
司は部長の方を見る。
「だから千空。
今ここで永遠に誓ってくれないか?科学を捨てると!
そうすれば俺は、千空、
君を殺さなくて済むんだ」
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長庚 - ぽぽぽさん» お言葉物凄く支えになります、更新頑張らせていただきます! (10月6日 16時) (レス) id: 02c9f82314 (このIDを非表示/違反報告)
ぽぽぽ(プロフ) - うおおおおおお!更新頻度高くてすごい助かります!!普通に話作るのうますぎて吐きそう!!頑張れええ!! (10月6日 0時) (レス) @page39 id: 84325108d2 (このIDを非表示/違反報告)
長庚 - ありがとうございますー!実は風邪ひいてしまってですね……体調には気をつけます!(*`・ω・)ゞ (10月2日 19時) (レス) id: 02c9f82314 (このIDを非表示/違反報告)
ぽぽぽ(プロフ) - んふふふふふふ。何これ面白い…可愛い…。体調に気をつけて更新頑張ってください! (10月2日 17時) (レス) @page33 id: 84325108d2 (このIDを非表示/違反報告)
長庚 - マジモンの名無しさん» ありがとうございます!これからも作品の腕を上げて参ります! (9月28日 21時) (レス) @page29 id: 02c9f82314 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:長庚 | 作成日時:2023年9月12日 22時