万里の時を駆ける2[Dr.STONE]

冷静に考えろ ページ11

「全員だな。全員が助かるルールを一から探す」

そうだ。部長はそう答えたのだ。

「ワオ！実に科学部部長っぽいご意見ですな！」

杠が笑い、花岡がテストの結果を読み上げる。

「この心理テストでわかるのは、あなたの一番大切な人です」

「100%まんまじゃねぇか！ゴミすぎるだろその本」


部長が言ったテストの答え。

ああ。だから、この話をしたのか。

私の記憶は、ここまで思い出して終わった。

部長の声によって、現実に引き戻される。

「俺は全員を助ける為に一人犠牲になってやる、っつう超絶お優しい性分じゃねえ」

仕切りに寄りかかった。その声が、壁の振動と共に伝わる。

「"全員が"助かる道を探してやる。

だからもし俺が殺られても、パニックになんじゃねえぞ。テメーにだけ伝えとくからな」

私にだけ、伝えておく。

「私、信頼されてるなぁ。嬉しい。

えっと……、部長が死んだだけで焦ったりしないようにする。まず最初に、部長が助かる手立てを考えろ。

そういうことだね」

「まあそういうこった」

部長がはっと息を吐く。

私は「分かった」とだけ言って、湯から出た。

司が来てしまったら、部長は殺される可能性が高い。

でもそれは、来たらの話だ。

司がどこまで察しが良いのか分からないが、まだ大丈夫だろう。これは全て、たらればの話。

そう思っていた。


でもまさか、これを言われて一日も経たないうちに、部長が死ぬだなんて思ってもいなかった。


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花岡というのはドクストノベライズ版に登場する科学部部員の名前です。花岡山太(はなおかさんた)。

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