この場所は後の… ページ9
水の音がした。
辺りをきょろきょろしながら音に近づく。
そこには大きな洞窟があった。
ここから水が湧いてるのか？それなら少し貰おうか…。
足を踏み入れると、足に地面のひんやりとした冷たさが伝わる。
水をよく見るとそれは濁ったような黄色だった。
「これ…水じゃない…。…酸か」
少し手に垂らしてみたら、指がぬるぬるとした。溶けている。
「なんで酸が…」
私は酸が落ちてきた上を見上げた。
「………コウモリ…じゃあ、これは硝酸…」
コウモリの糞が色々されて長い時間が経つと硝酸ができる。
「それもこんなにたくさんのコウモリが…道理で硝酸もたくさんできるね。硝酸が…。硝…酸が…。
……硝酸…」
硝酸は強酸性なので、特定の石を溶かす。
…もしかすると…。
私はいくつか持ってきた石破片を一枚、硝酸につけた。
ビシッビシッ…。
石破片はいい勢いで割れた。
「!!これがあれば…皆を起こすことができる…誰かに会える…。誰かに…
いやでも、違う」
もし私がこの流れている硝酸に触れて石化が解かれたなら、
ならなぜ私よりもこの洞窟に近い石像が元に戻らない？
それはおかしい。つまりここ周辺の石像たちは硝酸だけでは治らない。
「何が違うのか…どうして…どうすれば皆を…」
その時、少し強い風が、洞窟に吹き込んだ。
別にそこまで冷たくはないが、裸同然の格好で人間が防げる温度なんて、殆どないのかもしれない。
「寒っ…こんなことより、衣食住の確保からやらないとダメか…」
しかし服なんて、杠から少し教えてもらったものくらいしか知らないし、罠だって免許を持っていなかったからわからない。
そしてその材料も何一つない。
「ほんとに1からの、サバイバルの始まりか…」
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作者名：長庚 | 作成日時：2023年8月29日 22時
