石化中 3 ページ6
1000年目
私の心のなかはすっかり勉学の事だけになってしまった。
それはするのは勿論、忘れてはいけないことだからだ。
こうなっているうちは、大人しく勉学に(頭のなかだけで)励むのが一番だから。
しかし時々思い出す皆の声。
はやく聞きたい。
でも、実は皆はこんな事になっていないかもしれない。
もう時間はすごく流れている。
きっと私が生きていた時間の100倍くらいはある。
つまり1600年くらい?
わからないけど、それなら皆もう死んでる。
皆には、会えない。
(勿論私だけがこの状態だったらの話だけど)
そうだよね。
もしそれが本当なら、私が今まで耐えてきた理由は…。
2700年目
今までを一度リセットして、始めと同じような気持ちになろうと思った。そしたら多少楽になると思ったから。
しかし、できなかった。
あの頃の気持ちを忘れてしまった。
この途方のない時間で、思い出そうとしないものなんて、すぐに忘れてしまうのか。
それに、心とか気持ちとか、発する対象が自分しかいないのだ。
永く一人の状況で、孤独感を忘れてしまった。
皆に会いたいと思わなくなった。
それ以上に復習復習で、もう定着しきって忘れそうにないものをひたすら思い返すことをやっていた。
どこかに感情を投げ出すのか分からなくなった。
しかし恐怖はある。
今が怖いんだとわかる。
なんて理不尽なんだろう。
そして今日も、使うかも分からない知識だけを思い返す。
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作者名:長庚 | 作成日時:2023年8月29日 22時