杠復活(真) ページ46
復活液の調合が終わり、大樹は杠像にそれをかけようとしては躊躇っていた。
「杠、待たせたな。
俺は……、俺は……俺は…」
そこへ部長がせかせかとやって来る。
「急いでるっつってんだろがデカブツ!」ぐいと大樹の腕を掴んで、復活液をかけてしまった。
「うおお!いきなりバシャッと!なんかもっとこうあるだろ!
…………。って起きんな……大丈夫か!?いや、大丈夫だ杠!
いやでも大丈夫なのか!?」
大樹はさっきからあたふたと、杠が復活できるかとても心配なようだ。
「反応に時間がかかんだよ。こいつは一種のコールドスリープだ」部長が説明をしてやる。
「カラダの微量金属元素で作った保護膜みてえなもんで、謎原理な元素の位相ズラし石化状態をキープしてる」
「む、むずかしいな!なんだかとてつもなく!」大樹には難しい話だったようだ。
私が言葉を繋ぐ。
「まあ仮説なんだけどね。
復活液によって一ヶ所でも組織が壊れれば、そこから連鎖的に崩壊して、石化が解ける……」
そこまで言って、話すのを止める。
私の言った通り、杠像はカスケードを起こし、表面に亀裂を入れていく。
黒い石片が破られ、白い肌が見える。
「…………!」
動かなかった、杠の石像。
既に一つ歳の差がついてしまったほどに、長い間話すことができなかった、手芸の達人。そして、私たちの朋友。
今、それが解かれ、"人"へと、戻っていく━━
「………………っ」
と、急な呼吸音が聞こえた。
それは紛れもなく、昔から変わっていない、杠の姿だった。
「……………!!ゆずり、は…」
「ゆ、杠!分かるか杠!!」
石化が解けて力が抜けた杠の身体を、大樹が支える。大樹は号泣していた。
「大樹……くん?」杠が、か細い声を発した。
「すまん!3700年も待たせてしまった!すまん!」
「ふふふ…わかんないよ、なにも、起きたばっかだもん」柔らかく、杠は口を綻ばせた。
私たちは、この不思議ファンタジーの謎を一つ、本当に解き明かすことができたのだ。
よかった………本当によかった。
部長の方をに目をやると、部長は二人を端から優しそうな目で見ていた。
(部長も意外と、感慨深いのかな)
プランAorB→←ちょっと中々意味が分からなかったらごめんなさい
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作者名:長庚 | 作成日時:2023年8月29日 22時