いないうちに ページ44
「よーし杠！ついに今度こそ！本当に助け出せるぞ！」
「凄いね大樹、上手だよ！杠も顔負けの出来！」
大樹はAに教えてもらいながら、杠の服を作り終わったところだ。
「なんだこりゃ？復活液一名様ぶんにギリ足りねぇじゃねぇか」俺は硝酸を注ぎながら言った。
「なにィ!?早まったか！」
「司と二人、愉快にシリトリでもしながら待っててやっから、超高速で行ってこいデカブツ」
「すまん！今すぐ採ってくる！全速力で行ってくるぞ！」
「いってらっしゃーい」Aも笑顔で手を振る。
おおおお!!と声を上げて走っていく大樹の肩を、司ががしりと掴んで言った。
「なら、一番速い俺が行くよ。
だから、その奇跡の水の場所を教えてくれないか？」
「確かに、司が行った方が速いね！えっと、その奇跡の洞窟はね……」
Aが進んで場所を伝える。
司は走って、Aの示した方角を行った。
これで後戻りが出来ない状態になった。
やるしかねぇ。
＊＊＊＊＊＊＊ ＊
「行ったか？司は」俺は思い切り身体を伸ばしてAに訊いた。
「行ったよ」Aが冷静に答えた。
「おしA！司がいねぇ間にソッコーで復活液作って、杠生き返らすぞ！」
俺は硝酸とアルコールを持って、研究室へ向かった。
突然の事に大樹は首を傾げた。
「どういうことだ？さっき復活液がギリ足りないとか…」
「んな微妙なサイズのツボ置いとくわけねぇだろが」作業をしながら早口で答える。
「たしかに！ってじゃあ、なんで司に行かせたんだ!?」
「司の考える事は全て、私たちにとって妨げにしかならないからだよ。
今のうちに杠復活させて、司対抗手段を考えよう、って」
「対抗!?司は何か悪いことしたのか!?
というかAなんだか性格変わったかー!?」
「変わってないよ。司の前で猫かぶりをしていただけだよ。
………でないと色々まずかったんだ」
「あ゛ぁ。
奴のご大層な“ぼくのかんがえたさいきょうのせかい”にこっちは1ミリも興味ねぇんだ。
文明作りゲームのが唆るもんでな」
大樹は俺たちの回答に少し黙っていたが、やがて頷いた。
「俺にはよく分からん。だが二人が言うんならそうなんだろう。
何かあったんだな！俺のいないときに」
あぁ、と俺は大樹とAに向き直った。
「獅子王司は善い奴で、
人殺しだ」
ちょっと中々意味が分からなかったらごめんなさい→←全部言った
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作者名：長庚 | 作成日時：2023年8月29日 22時
