次に進むぞ ページ41
「んでデカブツ、テメーのおヒゲのケアに大活躍してた貝殻だが、ボッコボコの粉々にするだけで、その炭酸ナントカのできあがりだ」
「おお、分かった千空!!体力担当の俺に任せろ!!」
暫くしてから、大樹は籠いっぱいに沢山の貝を拾ってきた。
「おうやるじゃねえかデカブツ。こっからまたまた楽しい科学の時間だ。
4つも!死ぬほど重要な道がある」
俺は大樹、司、(A)に、炭酸カルシウムの使い道を作りながら教える。
肥料、モルタル、石鹸………。
「なんか、大分このハウスも豪華になったね〜!」ニコニコのAが目をとびきりキラキラさせている。(もはやもう驚かない)
まあ確かに、初期のただの組み木の超不恰好建築物よりはマシになっているが。
「見るほど豪華になっちゃいねえだろ。ほれA、さっさと手ぇ洗え」
「はーい!」Aが元気よく返事をした。
「病気=ゲームオーバーのこの世界じゃ、バイ菌浄化するこの小せえ塊が医者代わりの命の石。ドクターストーンだ」
「ドクターストーン……。何だかかっこいい言い方をするねえ………」Aが石鹸をこすりながら言った。
ふと、先程からずっと黙っていた司が言葉を発した。
「……千空、君は素晴らしい男だ」
「あ?」
「俺の復活直後もそうだ。とっさに冷静な現状伝達。君より切れる男を見たことがない。
尊敬するよ。心から」
若干の気味悪さから、俺は司に返す。
「…………。目の前で男を褒める男は、下心だらけの腹黒ダヌキって100億年前から決まってんだ」
石鹸を使う手を止めて、司の方を見た。
「何が言いてぇ」
司は特に表情を変えない。
「君なら本当にゼロから近代文明を作れてしまうかもしれない。
うん。ただそう思っただけだ」
「……いやあ〜にしても、文明ってのはこうやってできあがっていくんだな〜!!」
大樹が歓喜の声を上げる。
「そうだね。あっという間に元の文明に戻っちゃいそうだね…!」Aも頷く。
「ああ!!で、千空、4つ目はなんだ?貝殻の重要な使い道は4つもあるって言ってたよな!?」
4つ目の使い道。
火薬…………。
「…………いや、3つだ。
3つって言わなかったか?」
「あれ、そうか!?記憶も雑だな俺は!ハハハハハハ!」大樹は別段気にする様子もない。
俺は何かを恐れて、火薬という使い道を言わなかった。
雑頭が単純で本当に助かった。
しかし…………。
俺は司の方に目をやった。
………こいつだけは、何かあってもどうにも出来なさそうだ。
78人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「女主」関連の作品
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:長庚 | 作成日時:2023年8月29日 22時