You Trust Her? ページ39
「俺は武力。狩猟担当だね。
俺が仲間になったからには、二度と獲物に不自由はさせない 」
最近はとても食事が豊かになった。
司の言うとおり、全く不自由のない食生活を送っている。
「なるほど!すぐ焼けば冷蔵庫なしでも腐らないわけだな!!」
「焼いてんじゃねぇ。煙のアルデヒドで微生物をブチ殺してんだよ。
アタマが雑でもわかる言い方で言うと…燻製だ」
今は司が銛か何かで捕ってきた魚を燻している。
どっかの誰かが燻製のチップなんてご丁寧なものを作りやがったので、それも使っている。
「おお!それなら知ってるぞー!!Aがそれをやってたからな!」
「あ゛?あぁそうか」どうやらいらない説明だったようだ。
Aも中々、雑頭に伝わるような説明ができたものだ。
どちらかというと、科学部にやって来たときは、陰気キャラがお似合いみたいな奴で、科学は一人でやりたいとか言ってそうだった。
何千年も経って目が見えるようになると、人っつうのは色々変わるんもんだな。
「っつうかそのAはどこへ行きやがったんだ?」
Aはこの頃、少しの間いなくなっては帰ってくる、を繰り返している。
「彼女なら、その辺を散歩してくると言っていたよ」
「………そうか」
「心配なのかい?」突如、司は表情を変えずに尋ねてきた。
「あ゛ー………。
まあどっかで道に迷って野垂れ死にしてねえか心配だな」
俺は二人に顔を背けて言った。
「縁起でもないぞ!!千空!」
「まあどうせ帰って来んだ。そんな迷う場所まで突っ走るバカじゃねえよ、Aは」
そうぽつりと呟く。
「「………………」」
司と大樹が黙り込んだ。
何で静かになったんだコイツらは?
「何だ?急に黙ってどうした?」
「いや、うん。君はAの事をとても信頼しているんだね」
また訪れる沈黙。
……………。
………………………。
……言えってか……。
「どうだかな。まあ信頼は……
…………してんじゃねえか……?多分……」
「皆ただいま!帰ったよー!」
「うおっ!!?」変な声が出てしまった。
「驚いた?」背後でAがクスクス笑っていた。
「ただいま!三人は何の話をしてたの??」
「「「いや、何も」」」俺たちは即答した。
「えっ、どうしたの皆同じ事言って!?余計気になるな〜」
「いや何もねえ。大したことじゃねえよ」
Aは気にしていない様子でニコニコしている。
自分が何もないと言ったのに、どこか歯痒い感じがした。
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作者名:長庚 | 作成日時:2023年8月29日 22時