自己紹介による変異 ページ38
「これを……君たちだけで作ったのかい?三人で?」獅子王はそうこぼした。
「まあな」
俺たち三人、いや四人は、杠の石像を引き連れて、キャンプに戻ってきたところだった。(ちゃんと服も着ている)
適当に答えて、研究室に入る。あとに、大樹、A、獅子王も順に続いた。
「あらためて、獅子王司だ。司で構わないよ」
獅子王、改め司は、端的に自己紹介をした。
俺もそれに返して言う。
「この世界じゃ苗字も意味ねぇわなぁ。
……アタマがマトモな科学担当千空と、アタマが雑な体力担当大樹だ。んでそこにいんのが……」
「アタマがマトモな真人間兼紅一点担当のAです。よろしくお願いします!」
Aが、話していたところを遮って、自己紹介を始めた。
何だ急に。
ちらっとAに目をやると、「自分に言わせろ」とでも言いたげな鋭い目で返してきた。
……コイツそんなに自分で言いたかったのかよ。
そして真人間兼紅一点担当って何だ。
「よろしく頼む。敬語じゃなくて結構だよ」
「それはありがとう。じゃあ司と呼ばせてもらうね!」
さっきからAの様子がおかしい。
今まで俺たちと過ごしている時よりも更にニコニコしている。何というか、気色が悪いくらいにだ。
「普段の食事は何を?」
「山菜とか植物系が普通かな……あちこちに罠を張ってるから、シカなんかが食べられる時もあったけど……最近は見ないかな……?
ねぇ?
ダメだなんかコイツ超絶気持ち
「俺は最近、肉をたらふく食う夢ばかり見るぞ!」
デカブツはAの変化に1ミリも気付いてねぇ。
「A……」
「ん?どうしたの?千空」Aがにこやかに言った。
「いやなんでもねぇ……」
まあいつだって訊ける事だ、適当なタイミング見て訊くか。
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作者名:長庚 | 作成日時:2023年8月29日 22時