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獅子王司という男 ページ37

「つ、強い……大樹、この人は…」

「おおー!!の獅子王司が、仲間に加わったぞー!!これで本当に危険は来ないな!!」

大樹は大いに喜んでいる。

「いや、いくらなんでも強すぎんだろこの獅子王司って男」

「強すぎちゃダメか?むしろ頼もしいじゃないか」

「じゃあもし奴が欲望モロ出しの悪代官だったらどうする?

素手でライオンブッ倒すチート武力の男だぞ。銃もねぇこの世界じゃ100億%止めようがねえ」

部長の言がごもっともである。

この男が何かの違う思想や考えを持っていた場合には、この"霊長類最強の男"による武力行使だって有り得るかもしれない。

と、獅子王司が口を開いた。

「すまないが、肉をさばく道具を借りてもいいかい?ナイフ、いや、無ければ石器でもいい」

食べるのだろうか?

「食うのか?ライオンを…食えるのか!?」

「ククク…毒はねぇよ。アンモニア臭ぇわ硬ぇわで死ぬほどマズいがな」

「あー……うん、あれは私も美味しいって思った事はないかなぁ」

初めて食べた時は既に全盲状態であったので、何を食べるかドッキリ、的なものをやらされたのである。

味はすごく美味しくない。ホンオフェのアンモニア臭さの100倍くらいはマシだったが、美味しくない。

「なっ!?二人とも食べたことがあるのか!!二人ともどういう高校生だー!?」

大樹が仰天した。

「身を護るためとはいえ俺がこの手で殺たんだ。

うん、すべてを糧にすることで自然の輪廻に感謝したい、それだけだよ」

獅子王司は既に息が無いライオンに向き直った。

「うおおお!立派だァ!良かったな千空!悪代官なんかじゃないぞ!めちゃめちゃ善い奴じゃないかー!」

「……だといいがな」

部長も多少怪しがっている、というよりかは、警戒をしているのだろう。

「まァ感謝とかなんとかは1ミリも興味ねぇが、肉を無駄にしねぇのは大賛成だ」

「はっ……」とそこで、私はあることに気づく。

「?どうしたA」

「あ、あの……?私その、女だから…一応何処かに行くね。どうにか…その(・・)革で服でも作ったらその、また来るから」

私はそそくさとその場から離れ、獅子王司が着替えた状態になるのを待った。

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作者名:長庚 | 作成日時:2023年8月29日 22時

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