4人目の復活者 ページ36
そしてまあ、今に至っている。
私たちはずっと全力で走り続けていたので、私や部長は体力に限界が来ていた。
「今生きてるけど、追い付かれるのは時間の問題だよ。このまま走り続けても、意味がない」
「あ゛ー…だからどうすっか走りながら考えてんだがな、多分その前に死ぬだろうな……!!」
ならばどうするか。
すると、大樹が思い出したように言った。
「はっ……千空、A!!こっちだ!」
「……!?分かった!」
私と部長は大樹の導いた道を走る。
部長はもうこれ以上は走れなそうだった。
後ろ数メートルにはライオンの群れ。
詰んだと思われた。
「二人とも!この男だ!!」
「だ、誰?」
「前に見つけたんだ、霊長類最強の高校生、獅子王司……!!」大樹の視線の先には、男の石像がおもむろに座っていた。
「すまん杠。今はなんとしても武力が必要なんだ。もしもライオン達に勝てたならば、次こそは必ず…!」
杠像を木に立て掛け、大樹はそう呼び掛けた。
「いいから、とっととぶっかけっぞ!」部長は容赦なく、杠用だった復活液を男の頭の上に流した。
「た、大樹?復活液使っていいの…!?」
急に近くの男の石像に復活液をかけた大樹と千空に問いただした。
びしびしと、石像に亀裂が走っていく。
「ああ!俺たちが今助かるには、この男の力がいる!!」
大樹は杠像を木に立て掛けながら呼び掛けた。
「……………!!」
いつの間に、ライオンたちに囲まれていた。
私は意味はないとわかっていながらも、携帯している石器を構えた。
背後で、大樹が復活液を使った男が、石片が全身に取りついたままこちらを見てくる。
「すまん!数千年ぶりに起こしておいて何が何やらわからんまま…」
「……現況は?」男は低い声で発した。
男の冷静さに驚いたが、部長はすぐに状況を判断して、男に伝えた。
「体表全体に鉱石片!9時から2時方向にライオン群!」
「OK」
そう言うと、男は石片を破り、その石片をライオンたちに思い切り飛散させた。
「なっ……!」
驚愕する一同。瞬間の出来事だった。
それに終わらず、男は向かってきたライオンを拳一つで殴り飛ばした━━!!
「あ……えぇっ……」全てがはやすぎて追いつかない。
「詳しい説明は、うん、ゆっくり聞くよ」主を倒されたライオンたちは、素早く逃げ去っていく。
「ただ一つ約束する。君らにはもう二度と危険って奴は訪れない。
これからは、この俺が闘うからだ」
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作者名:長庚 | 作成日時:2023年8月29日 22時