追われている ページ34
春のある日のことだった。
突然の事態に、驚きを隠せなかった。
はやくやる事を終わらせてから、ハウスに戻ろうと思っていた。
「まさか!!?
全力で森を駆ける3つの影。
「んなもん出所は動物園しかありえねえだろ!飼育員が鍵開けたまま石化したか!?」
おまけにかなり重さがある石像を抱えている。
「人間不在で逃げだしゃ園内の草食獣全部エサ、街に出りゃペットも食い放題!文字通り百獣の王になった、
つまり今は食物連鎖の頂点は人間様じゃねえって事だ!!」
そしてその影を追うのは、食料に飢えた獣たちである。
「部長。今追いかけて来ている彼の者たちは時速60kmで走れるんだよ。知ってる……?今追い付かれたら死ぬこの状況で饒舌になれる部長の気持ちがよく分からないな」
私たちは今、
「テメーもんなこと言ってねえでもっと速く走れ!!ライオンの餌食になっても知らねえぞ!!」
………死の淵に立っている。
******* *
事はツバメの石化を解くことに成功したところまで遡る。
ツバメは長年の凍結状態から解放され、勢いよく飛び立って行く。
「う、うおおおお!!」
「一年で……よくここまで……」
「ああ。一年か、早かったな。
地道に進んで、科学の力で、ファンタジーに勝ってやんぞ……!!
唆るぜこれは……!」部長は目を細めて、やりきった、という表情をしていた。
(………あのツバメはこれから仲間も同種もなしにどうやって生きるんだろう…)
感動的なところ申し訳ないが、少し後ろめたい気持ちになる。
「まあ、でも大樹がブドウ見つけてくれて本当によかった……!」
「あ゛あ。……そうだな大樹、テメーの手柄だ。最初に復活させたい奴くらい選ばせてやる」
それを聞いて、大樹の顔がぱっと明るくなった。
部長優しい。
直感的に思ってしまった。
「俺が復活させたい人はもう決まっている!」大樹が立ち上がった。
まあそれは、私でも分かる。
うんうんと部長の方を見ると、ふいに目が合った。
え、何、何か反応した方がいいのかな?
そう思ってにこりとすると、部長は少し驚いたような顔をして、目を反らしてしまった。
「………………?」
そんな事されると普通に気まずいなあ………
別に気にしなくてもいいか。
「千空ー!!復活液が溜まったらはやく行くぞー!!」
そして私たちは、あの杠がいた大きな木に向かったのだ。
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作者名:長庚 | 作成日時:2023年8月29日 22時