私の企み ページ30
大樹が来てから秋も後半、冬への備えが必要になってきた。
いつも以上に沢山採集をしておかなければならない。
とは言っても、大樹がいるので、溜める食料が足りないという心配はなさそうだ。
「おおー!!行ってくるぞー!!」
「いってらっしゃーい」
大樹を見送ってから、私も準備を始める。
刃物を持って、ちゃちな前掛けをつけた。
「おお……今回はイノシシだ」
解体である。
何故か、いや何故かしなくとも解体は私がやることになっていた。
解体は石化後に初めてやったのに、今はすっかり慣れたものだ。
と、いうのは半分嘘である。
(う゛っ、この腹を開くときのギコギコする感じ気持ち悪い……慣れないなあ)
解剖学も修めてはいるが、実際に自分で開いて見たことは、ない。
(内臓や脳や骨を取り出して、可食部の状態を調べて、選別をしたら、なんとも美味しそうなイノシシの生肉が出来ました)
同時に血がべっとりと腕についてしまったので、川に洗いに行く。
「解体も終わったし、あとは塩漬けにしたら文句なしだね。
…………でも何だかな、今回は違う事がしたいかな…」
最近塩漬けばかりで飽きてきたところだ。もしかしたら部長や大樹も同じように思っているかもしれない。
私は川の水に手を浸けた。もう随分冷たく感じる。
「………あんまり道具もないし……燻製とかでいいか!
二人への些細なサプライズ……いや、これごときじゃあならないか…
でも少しは喜んでくれるかな」
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作者名:長庚 | 作成日時:2023年8月29日 22時