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酒は百薬の長 ページ29

「うおおおおお!!」

「おう…もうそっち系は全部お前に任せるわ」

「あはは…大樹頑張れー」

大樹すごいな……。

ある日のことであった。

どこからか大樹がブドウを採ってきた。

私たちはずっと石化を解くための方法を模索していく中で、酒がないということに頭を悩ませていた。

別に飲みたい訳ではない。

硝酸と酒、というかエタノールで、金属などを腐食させることができるナイタール液の出来上がりである。

それができれば、石化を解くための道にぐっと近づく筈だ。

そんな中、大樹がいつの間にブドウを拾ってきていた。

(大樹……やっぱり役に立つなぁ)


今はそれをとにかく潰して、搾る作業をしているが……

「千空!!もっとブドウを入れてくれていいぞ!!」

「相変わらずの体力バカなこった……」

部長は大樹がブドウを(踏み)潰している器に新たにブドウを投入している。

……、これは別に私たちがやらなくてもいいのでは?


私は採集とか罠を見てくるとか、そっちの方が役に立てそうだ。

採集………。

頭の中で、色んな植物を発見して、何なら3700年の年月によってできた新種を見つけて大喜びしている自分の姿を想像する。

……………。

行きたい……。

(いやでも、我慢しないと、部長はブドウ潰してるのに

……うぅ…しょうがないか……)

「A、手が止まってんぞ」

「はっ、ごめん」

やはり楽しい事の想像をしながらだと作業に滞りが出るな……。

「おおーAー!気にしなくていいぞー!!俺も集中出来ないときはあるからなー!」

大樹が助け船を出してくれたのがすごく嬉しい。

でも、やっぱり部長は厳しいな……

なんであんな合理的な人になったのか、いつか訊いてみようかな。

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作者名:長庚 | 作成日時:2023年8月29日 22時

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