再会 ページ28
大樹の働きぶりは私たちの中で群を抜いてすごいもので、もはや比べてはいけないのではないかと思えるほどだった。
「大樹……休憩はしたほうがいいんじゃ…」
「おおー!!心配するなー!!俺はまだまだ大丈夫だからなー!!」
は、はあ、はいはい…
「デカブツなら大丈夫だろ。アイツが倒れたことなんて殆どねえ、放っておきゃ勝手に帰ってくるわ」
「そういうことじゃなくない?……なんというか、部長ってなんか"血も涙もない"って感じがするね……」
「あ?何言ってっかわかんねぇが……事実だろあんな体力バカ」
ひょんな事を話している間にも、大樹はどこかへ行ってしまう。
と思ったらまた瞬間で帰ってくる。
「ほうら、帰って来たぞ。Aそっちの籠の分別しとけ。俺はこっちをやる」
はあ……。何というか、うん………。
「ヨモギ…食用 タマゴタケ…食用 あっ、ドクゼリ……クズ…食用………ん?
……こっ、これ……!」
今きっと私の目はキラキラに輝いていることだろう。
何を隠そう、それはトリカブトであったからだ。
ギリギリ花が咲く時期だったのか、妖しい紫の花弁をつけている。
(もしかして、さっき私が見つけたやつだったりして)
トリカブトを拾い上げて眺めていると、その向こうにいた部長と目が合った。
「………………」
部長は黙ってこちらを見ている。というか睨んでいるようにも見える。
………あっ。これ私が持って帰って来たとか思ってるのかな。
「部長?これはこの籠の中から取ったものだよ。私が採ってきた訳じゃない」
「………………」
何か喋って欲しい。こっちを見たところで変わらないんだから…。
「………食うんじゃねえぞ。Aならそれ食ったらどうなるかくらい分かってると思うがな」
「食べないよ。そうだね……もう辛くて自死って時にでも使おうかな」
「あ゛?食うんじゃねえって言ったんだろうが」
部長が何だか怖い。自死って言っても、実際に死ぬことはないんだから。多分。
「冗談だよ?部長は何でも本気にするんだね」
「何回も言わせんな、冗談でも死なれたらこっちが困んだよ」
「分かってるって」
「二人ともー!!帰ったぞー!!」
大樹の元気な声で、私たちの会話は途切れた。
「おかえりー」
大樹が来ると、すぐに賑やかになった。
それにしても部長は何だってあんなに過保護みたいな感じなのだろう。
考えてみたが、よく分からかった。
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作者名:長庚 | 作成日時:2023年8月29日 22時